ABSTRACT 2317(P12-11)
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溶連菌由来抗腫瘍性糖蛋白質の腫瘍細胞増殖抑制作用とアポトーシス誘導作用:吉田純子(金沢医大・薬理)

Antiproliferative and apoptosis-inducing action of streptococcal antitumor glycoprotein: Junko YOSHIDA (Dept. Pharmacol., Kanazawa Med. Univ.)

溶連菌の菌体内抗腫瘍性糖蛋白質SAGPは,マウス線維肉腫細胞(Meth A)およびヒト前骨髄性白血病細胞HL60の増殖を抑制するとともに,両細胞の核DNAを断片化することが知られた。また,細胞周期解析法および核蛍光染色法によっても両細胞に対するSAGPのアポトーシス誘導作用が認められた。 SAGPによるMeth A細胞増殖抑制作用と同細胞のDNA断片化は,蛋白質チロシンキナーゼ阻害薬herbimycin Aによって増強され,逆に蛋白質チロシンフォスファターゼ阻害薬orthovanadateにより抑制された。更にphosphotyrosine抗体を用いたウエスタンブロット解析によって,SAGPはMeth A細胞の170kDa付近蛋白質のリン酸化チロシン含量を低下させることが知られた。このリン酸化チロシン含量の低下は,不活性化SAGPやorthovanadate存在下でSAGPを作用させた細胞では認められなかった。以上のことから,SAGPの腫瘍細胞増殖抑制作用とアポトーシス誘導作用に標的細胞の蛋白質チロシンリン酸化阻害が関与していることが示唆された。