ABSTRACT 2323(P12-11)
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扁平上皮癌細胞においてMnSODはアポトーシスを抑制する:植田栄作,山本哲也,米田和典,尾崎登喜雄(高知医大・口外)

MnSOD inhibits apoptosis in squamous cell carcinoma cells : Eisaku UETA, Tetsuya YAMAMOTO, Kazunori YONEDA, Tokio OSAKI (Dept. of Oral Surg., Kochi Med. Sch.)

扁平上皮癌細胞において、MnSODがアポトーシスを抑制することを確かめたので報告する。MnSOD活性は扁平上皮癌細胞株により、50U/mg proteinと低いものから、120U/mg proteinと高いものまで、大きな違いが認められた。そこで、MnSOD活性が低いOSC3と高いOSC4を用い、5FU (10-100μg/ml)、PLM(1-10μg/ml)およびγ線(10-30Gy)によるアポトーシス誘導を検討した。各処理後のMnSOD活性は、両細胞共に12時間後をピークにやや上昇した後、低下したが、OSC3において、より著明に低下した。OSC3における細胞内活性酸素 (O2・_、H2O2)レベルは、OSC4に比べ高く、各処理によってより強く上昇した。無処理OSC3細胞のミトコンドリア膜電位は、OSC4細胞より高かったが、各処理によりOSC4より大きく低下し、OSC4では膜電位の低下率は10(35%であったのに対し、OSC3では40(62%と大であった。各処理によって誘導されるアポトーシスはOSC4では16(20%であったのに対し、OSC3では26(30%と高率であった。これと相関して、OSC3はOSC4よりも処理後のcaspase3活性が高く、チトクロームCの遊離も大であった。PARPのcleavage、AP-1の活性化もOSC3で著明であると共に、これらのアポトーシスに関わるカスケードは活性酸素の消去酵素に対する阻害剤、さらにはMnSOD−アンチセンスによって増強された。これに対し、CuZnSODおよびグルタチオンの阻害剤によるアポトーシスの増強はほとんど認められず、扁平上皮癌細胞では、MnSODがアポトーシスを阻害する重要な因子であると推察された。