ABSTRACT 2326(P12-12)
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テロメラーゼ活性測定による制癌剤の効果予測に関する基礎的検討:寺島雅典、滝山郁雄、佐々木尚子、川村英伸、高金明典、阿部 薫、荒谷宗充、入野田 崇、米澤仁志、中屋 勉、大山健一、下沖 収、斎藤和好(岩手医大・1外)

Telomerase activity is a good predictor for response to chemotherapy: Masanori TERASHIMA, Ikuo TAKIYAMA, Naoko SASAKI, Hidenobu KAWAMURA, Akinori TAKAGANE, Kaoru ABE, Munemitsu ARAYA, Takashi IRINODA, Hitoshi YONEZAWA, Tsutomu NAKAYA, Kenichi OYAMA, Osamu SHIMOOKI, Kazuyoshi SAITO ( Dept. of Surg. 1, Iwate Med. Univ.)

【目的】テロメラーゼ活性は殆どの癌細胞が有しており、少数の細胞でも検出可能な事から、癌の存在診断に関する有用性が報告されている。今回、制癌剤の効果予測法としての本活性測定の有用性に関して基礎的に検討した。
【方法】ヒト乳癌細胞株3株、ヒト胃癌細胞株3株を用い、培養前後のテロメラーゼ活性及び細胞周期を測定した。また、制癌剤としてADM、5-FU添加後のテロメラーゼ活性と細胞周期の変化を経時的に測定した。テロメラーゼ活性はTRAP法により、細胞周期はFCM法にて解析した。また、各薬剤に対する感受性をMTT法にて測定し、IC50値を算出した。
【結果】薬剤無添加対照群においては培養前後で細胞周期に変動を認めなかったが、テロメラーゼ活性は培養開始と共に経時的に増加した。薬剤添加群では、テロメラーゼ活性は殺細胞効果に比例して経時的に減少した。テロメラーゼ活性と細胞周期には特に関連が認められなかった。各薬剤のIC50値と薬剤添加72時間後のテロメラーゼ活性の対照群に対する比率(T/C%)について検討すると、ADMに関しては有意な傾向を認めなかったが、5-FUにおいてはIC50値とテロメラーゼ活性のT/C%に有意な相関が得られた。
【結語】テロメラーゼ活性は細胞のviabilityを反映する結果が得られ、特に5-FUの感受性とテロメラーゼ活性の減少程度が相関する事から、臨床における5-FU系薬剤の抗腫瘍効果判定法として応用出来る可能性が示唆された。