ABSTRACT 2327(P12-12)
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フッ化ピリミジン感受性に及ぼす活性化,不活性化酵素の検討:小林直之,久保田哲朗,渡邊昌彦,大谷吉秀,寺本龍生,北島政樹 (慶大・医・外)

Pyrimidine nucleoside phosphorylase and dihydropyrimidine dehydrogenase on the effect of fluoropyrimidines : Naoyuki KOBAYASHI, Tetsuro KUBOTA, Masahiko WATANABE, Yoshihide OTANI, Tatsuo TERAMOTO, Masaki KITAJIMA (Dept. of Surgery, Keio University)

[目的]ヌードマウス可移植性ヒト癌株および大腸癌新鮮手術材料組織内のフッ化ピリミジン活性化酵素(Pyrimidine Nucleoside Phosphorylase; PyNPase)および不活性化酵素(Dihydropyrimidine Dehydrogenase; DPD)活性を測定し、フッ化ピリミジン抗腫瘍効果に与える影響を検討した。[方法]ヌードマウス可移植性ヒト癌株4株、大腸癌手術症例原発巣28例を対象とし、in vitro における5-FU および5'-DFURの感受性をHistoculture Drug Response Assayにより検討した。検体の一部を凍結保存し、PyNPase および DPD活性をHPLC法により測定した。[結果と考察]5-FUと5'-DFURの抗腫瘍スペクトラムは部分的に交差していた。PyNPase活性は臨床病学的背景因子との間に推計学的に有意な相関を示さなかった。PyNPase活性の多寡は5-FU感受性に影響を与えなかったが、高いPyNPase活性は5'-DFUR高感受性に帰結した( P = 0.045)。一方、高いDPD活性は5-FU低感受性に相関した(P = 0.035)が、5'-DFUR感受性には関係しなかった。腫瘍組織におけるフッ化ピリミジン活性化および不活性化酵素はフッ化ピリミジン感受性に関与しており、これらの酵素活性値を指標とした各種フッ化ピリミジンの選択は臨床的に有用と考えられた。