ABSTRACT 2328(P12-12)
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5FU系薬物 + CDDP術前化学療法の効果と薬物の解毒や活性化に関与するglutathione S transferase (GST)、cytochrome p450 (CYP)酵素の遺伝子多様性との関連:加藤俊二, 恩田昌彦, 徳永 昭, 松田範子, 池田研吾, 平本義浩, 吉行俊郎, 長谷川博一, 松倉則夫, 山下精彦 (日本医大1外)

Clinico-pathological effects of 5FU + CDDP neo-adjuvant chemotherapy and interindividual variations of metabolic enzyme functions due to the glutahtione S transferases and cytochrome p450s genetic polymorphisms: Shunji KATO, Masahiko ONDA, Akira TOKUNAGA, Noriko MATSUDA, Kengo IKEDA, Yoshihiro HIRAMOTO, Toshiro YOSHIYUKI, Hirokazu HASEGAWA, Norio MATSUKURA and Kiyohiko YAMASHITA (First Department of Surgery, Nippon Medical School )

【目的と方法】5FU系薬物(5FUもしくはUFT) + CDDPによる胃癌(ステージ III b以上)の術前化学療法施行27例の臨床的(CR、PR以上)、組織学的(grade I b以上)投与効果と薬物解毒酵素(GSTM1, T1, P1)や活性化酵素(CYP1A1, 2E1)の遺伝的個体差との関連を末梢血白血球DNAのPCR-制限酵素処理法による遺伝子多型性分析をすることによって調べ、抗癌剤の投与前効果判定予測が可能かどうか検討した。
【結果】GSTM1、T1遺伝子欠損やCYP1A1の特定の遺伝子タイプと各症例の術前化学療法の臨床、組織学的効果には関連はなかった。GSTP1のisoleusine / valine (I /V)のヘテロ接合体遺伝子タイプはisoleusineのホモ接合体 (I / I)に比し、またCYP2E1の酵素活性が増強していると考えられるc2 alleleをもつ遺伝子タイプが、c1/c1遺伝子タイプに比較し組織学的効果がそれぞれ高く(Odds比: OR=3.2, p=0.28, OR=6.0, p=0.10)、特に臨床効果はCYP2E1ではc2 alleleをもつ遺伝子タイプが他の遺伝子タイプに比べ約6.8倍と有意に高い相関を認めた(p<0.05)。
【考察】5FU、CDDPの解毒とDPD、GST酵素の関連が注目されているが、GSTをはじめ、薬物の解毒酵素や活性化酵素を規定する遺伝子の多様性と酵素活性の個体差が、抗癌剤投与効果の個人差に反映する可能性があり、今後さらに症例を増やして検討するとともに、種々の薬物代謝酵素の関与や薬理学的機序を解明すし、臨床応用の可能性を模索したい。