ABSTRACT 2333(P12-12)
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温度感応性ポリマー(TGP)を用いた固形癌および正常組織の個人別抗癌剤感受性試験:松岡 博光,月川 賢,及川 博,山村 卓也,窪田  倭,山口 晋(聖マリ医大・第1外科)

A new method for primary culture and chemosensitivity test for the solid cancer and adjacent normal tissue using thermoreversible gelation polymer(TGP) as a culture material:Hiromitsu MATSUOKA, Satoshi TSUKIKAWA, Takuya YAMAMURA,Hiroshi OIKAWA,Sunao KUBOTA, Susumu YAMAGUCHI (1st. Department of Surgery St.Marianna University School of Medicine)

温度感応性ポリマー(TGP)は、転移温度(22℃)の上下でゾル・ゲル状態が可逆的に変化する高分子化合物である。【目的】TGPを培養用基材に用いて固形癌組織(大腸癌、転移性肝癌)と正常組織(大腸粘膜・正常肝)の抗癌剤感受性試験を試みた。【方法】癌組織および正常組織を細切し、ゾル状態(4℃)のTGPで組織片の混濁液を作成後これをゲル化して包埋した(37℃)。癌組織の形態を経時的に観察し、同時に抗癌剤感受性試験を行った。【結果】癌組織21例中、 2週間以上初代培養可能であったものは17例(81%)であった。その内抗癌剤感受性試験を行った10例中8例に濃度依存曲線が得られ、各抗癌剤の50%抑制濃度を算出できた。培養した組織片は2週後の組織学検査で原発巣と同様の組織構築が保たれていた。一方、TGP内で間質細胞(線維芽細胞)の増殖は認めなかった。正常粘膜は癌組織に比べて抗癌剤感受性が低い傾向にあった。【結論】本方法は酵素処理を必要としないこと、またTGP内で線維芽細胞の増殖を認めないこと、などからより正確に癌組織の抗 癌剤感受性試験を行える利点がある。さらに正常組織の感受性試験を同時に行い比較することにより化学療法による副作用を推測できる可能性がある。