ABSTRACT 2336(P12-13)
抗癌剤の作用効果の増強を目的とした直流通電―その薬理動態―:伊藤勝基、王莉、安藤秀行、平井敦、須田賢、松井隆則、斉藤理、小田和重、藤原道隆、関口宏之、笠井保志、秋山清次(名大二外)。
Pharmacodynamics in Animal Experiment by the Direct Electric Current for the Treatment of 5-FU-Resistant Tumor. Katsuki ITO, Li WONG, Hideyuki Ando, Atsushi HIRAI, Satoshi SUDA, Takanori MATSUI, Satoshi SAITO, Kazushige ODA Michitaka FUJIWARA, Hiroyuki SEKIGUCHI, Yasushi KASAI, Seiji AKIYAMA
「目的」同じ抗癌剤を繰り返し使って出来た耐性状態に直流電流の通電で再度抗腫瘍効果を認めた症例が数例あった。抗癌剤投与時に直流電流の通電が腫瘍組織内濃度の増加をもたらすかどうか、動物実験でその薬理動態を検討する事。
「材料および方法」BALB/Cマウス、colon26の細胞4x106個/ml(0.25ml/mouse sc)を使い各々に2個の腫瘍ができてから(約7日間)、コントロール群と電気治療群の2群に分け、電気治療群のマウスの皮下に白金電極を穿刺し、アースした電極との間に定電流通電療法装置(櫻井工機KK製特注品)を繋ぎ1000 Voltの直流の電圧をかけると0.2-0.8μ Ampの電流が流れる。5-FU 12.5mg/ml/kgを静脈内注射し、採血を各々0,5,10,20,30,45,60分行った。同じ時間に腫瘍を取り出し、5-FUの血清内濃度と腫瘍組織内濃度を高速液体クロマトグラフィー法にて測定した。
「結果」電気治療を行った群のマウスの、5-FUの腫瘍組織内濃度が電気治療を行わなかった対象群に比して高かった。血清内濃度は両群間に差はなかった。
「まとめ」電気治療により5-FU投与時の薬理動態を変化させることが出来た。腫瘍組織内濃度を高めることが出来た。5-FUが耐性になってからもう一度抗腫瘍効果を示す要因がここにあると考えられた。