ポスターセッション

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多剤耐性遺伝子mdr1アンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト白血病細胞のP糖蛋白抑制と薬剤感受性回復：本村小百合、泉二登志子、溝口秀昭 (東京女子医大・血内)

Inhibition of P-glycoprotein and recovery of drug sensitivity of human acute leukemic blast cells by multidrug resistance gene (mdr1) antisense oligonucleotides: Sayuri MOTOMURA, Toshiko MOTOJI, Hideaki MIZOGUCHI (Dept. of Hematology, Tokyo Women's medical college)

[目的]　薬剤耐性を引き起こす機序の一つであるP糖蛋白をコードする多剤耐性遺伝子 (mdr1)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドが白血病細胞の薬剤感受性の回復をもたらすか否かを明らかにすることを目的とする。 [方法]　アドリアマイシン耐性ヒト白血病細胞株K562/ADMと、急性白血病患者 (10例)より分離した白血病細胞を用いた。mdr1遺伝子に対するアンチセンス配列をリポポリアミンと共に細胞に加え4日間孵置し、その後のP糖蛋白陽性率、mdr1遺伝子の発現、P糖蛋白の機能としての細胞内ダウノルビシン (DNR) 停滞量とロダミン (Rh) 停滞量、白血病性幹細胞のDNR感受性を測定した。[結果]　K562/ADMではアンチセンス処理後にP糖蛋白陽性率、mdr1遺伝子の発現が減少し、細胞内DNRおよびRh停滞量が増加し、白血病性幹細胞のDNR感受性も約6倍に増加した。P糖蛋白陽性症例から分離した白血病細胞でも、P糖蛋白陽性率は約1/5〜1/15に減少し、mdr1遺伝子の発現も減少し、細胞内DNRおよびRh停滞量も増加し、DNR感受性は約3〜7倍に増加した。正常の赤芽球、顆粒球、巨核球コロニー形成はアンチセンス添加で低下しなかった。[結論]　難治性白血病細胞におけるmdr1に対するアンチセンス療法は、薬剤耐性を克服する手段として有効である可能性が考えられる。