ABSTRACT 2340(P12-13)
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タキソールによるCDDP感受性の誘導とその機序:山本謙二1,菊池義公1,平田純子1,喜多恒和1,石井賢治1,真野佳典1,工藤一弥1,平松久和,高野政志1,永田一郎11防衛医大・産婦、 狭山病院・婦)

Induction of cisplatin sensitization by taxol and the mechanism: Kenji Yamamoto1, Yoshihiro KIKUCHI1, Junko HIRATA1, Tsunekazu KITA1, Kenji ISHII1, Yoshinori MANO1, Kazuya KUDOH1, Hisakazu HIRAMATSU2, Masashi TAKANO1, Ichiro NAGATA11Dept.Obstet.Gynecol.,Natl.Def.Med.Coll., 2Sayama Hospital)

[目的]卵巣癌の治療においてタキソール(Tx)はシスプラチン(CDDP)耐性例にも有効性が認められ、CDDPとの併用も検討されている。今回CDDPとTxの有効な投与法やCDDP耐性とTx耐性の相関を知る目的で以下の実験を行った。[方法]使用した細胞はヒト漿液性嚢胞腺癌由来のKF28とこれよりin vitroにてCDDP耐性を誘導したKFr13および、両親株からTx耐性を誘導したKF28Tx、KFr13Txである。これらについてプラチナ(Pt)とxの取り込み量について検索した。さらにRT-PCR法でMDR1 mRNAの解析を行い、CGH(Comparative Genomic Hybridization)法により染色体解析を行った。またCDDPとTxの併用効果をin vitro、in vivoにより検討した。[成績]KFr13は親株に対し4.8倍のCDDP耐性を示したが、逆に1.8倍のTx感受性を示した。またKF28Tx、KFr13Txでは親株に対し11.5倍、4.0倍のTx耐性を示したが、逆に1.3倍、1.4倍のCDDP感受性を示した。Tx耐性誘導前後のPtおよびTx取り込み量は、KF28Tx、KFr13Txは親株に対し1.6倍、1.3倍のPtの取り込み増加を認め、Txの取り込みについては両者とも測定感度以下であった。mdr-1 mRNAの発現はKF28Txともに認められた。CGH法による解析法では KF28Tx、KFr13Txにおいて7q11.2-21のgainが共通してみられ同株にはmdr-1の発現が認められた。またTaxol耐性細胞株においてグルタチオンの発現についても現在検討中で、CDDPとTxの併用効果と合わせて報告する。[結論]Tx耐性にはmdr-1mRNAが関与しており、Tx取り込み減少によることが示唆された。またTx耐性によるCDDPの感受性化はPtの取り込みの上昇によることが示唆された。