ABSTRACT 2341(P12-13)
白血病におけるAraC耐性及び感受性関連遺伝子の解析:舩渡忠男,石井智徳,佐藤淳子,小出芳夫,佐々木毅(東北大・医・臨床検査診断学)
Cloning of a New Gene Overexpressed in Human Cytosine Arabinoside (AraC) Resistant Leukemia Cells:Tadao FUNATO, Tomonori ISHII, Junko SATOH, Yoshio Koide, and Takeshi SASAKI (Dept. Clin. Lab. & Med., Tohoku Univ.)
【目的】cytosine arabinoside(AraC)は難治性白血病治療に必須な抗がん薬であるが,耐性発現が問題とされる。耐性機序には標的酵素であるdeoxycytidine kinase(dCK)とcystidine deaminaseの役割が指摘されてきた。がしかし不明な点が多い。今回我々は,AraC耐性の出現機序を解明するために,AraC耐性白血病細胞株(K562/AC)において特異的に発現している遺伝子の同定を計った。すなわち,cDNAのPCR-Differential Display(DD)法により感受性株との比較検討し,スクリーリングによる耐性関連遺伝子の単離を計り,その同定を行った。
【方法】AraC感受性親株(K562/S)および耐性細胞(K562/AC)よりRNAを抽出しcDNAを得た。これらについて蛍光色素を用いたイメージアナライザーのnon-RI DD法により解析し,耐性細胞あるいは感受性細胞に特異的に発現の増加しているクローンを検討した。
【結果】K562/AC細胞に特異的に発現が亢進している mRNAに対するいくつかのPCR産物を得た。これらPCR産物クローンのうち,3クローンはこのクローンをプローブとしたRNase Protection assayによりmRNAおいて耐性株あるいは感受性株での発現の亢進が認められた。耐性に関与する単離クローンをACR1,感受性に関与する単離クローンをACS1およびACS2とした。
【考察】これら3クローンはdCK遺伝子やcytidine deaminase遺伝子とは異なるAraC耐性機序に関与する遺伝子と推定される。現在,これらの遺伝子を遺伝子導入し,AraC耐性機序への関与様式を追求している。