ABSTRACT 2342(P12-13)
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NADPH/cytochrome P450 reductase─ACNU耐性克服化学療法の分子標的:鈴木克之1,岡村達憲2,岡本 亮1,朴 智善1,中島伸之3,西山正彦11広島大・原医研・分子情報, 2広島大・医・脳外, 3千葉大・医・一外)

NADPH/cytochrome P450 reductase as a molecular target to overcome ACNU resistance: Katsuyuki SUZUKI1, Tatsunori OKAMURA2, Ryo OKAMOTO1, Ji Seon PARK1, Nobuyuki NAKAJIMA3, Masahiko NISHIYAMA1 (1Dept. Biochem. Biophys., Res. Inst. Rad. Biol. Med., Hiroshima Univ., 2Dept. Neurosurg., Sch. Med., Hiroshima Univ., 31st. Dept. Surg., Sch. Med., Chiba Univ.)

【目的】塩酸ニムスチン(ACNU)に対する耐性規定因子を求め、その特異的修飾による耐性克服療法(分子標的治療)の可能性を検討した。
【方法】ヒト癌細胞12株を用い、NADPH/cytochrome P450 reductase (P450red), MDR1, MGMT 等を含む耐性関与11因子について、活性・総量・遺伝子発現の解析を行った。ACNU抗腫瘍効果はトリパン青色素排出法にて評価し、阻害実験により各因子の機能的意義を検討した。
【結果】P450red活性およびその遺伝子発現量はACNUのIC50値と有意に相関し、なおかつmetyraponeによるcytochrome P450 (P450) 活性の阻害はACNUの抗腫瘍効果を有意に増強した。一方、多剤耐性に関与するMDR1, MRP、およびACNU耐性に関与が指摘されているMGMT、いずれの遺伝子も、その発現量とIC50値との間には明確な相関は認められなかった。P450red の機能的意義を、そのアンチセンスリボザイム発現系でも解析中である。
【結論】P450red/P450は細胞のACNUに対する耐性を規定する因子であり、ACNU感受性増強の分子標的となることが示された。ACNUは血液脳関門を通る唯一の薬剤で、P450redを標的とした分子標的化学療法の脳腫瘍での展開が期待された。