ABSTRACT 2344(P12-13)
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In vivoにおける5-FU耐性ヒト大腸癌株の樹立とその耐性機序について:藤岡秋生、武知貞士、福島正和(大鵬薬品・第二がん研)

Establishment and its mechanism of 5-fluorouracil-resistant human colon cancer xenograft in vivo : Akio FUJIOKA, Teishi TAKECHI and Masakazu FUKUSHIMA ( 2nd Cancer Res. Lab., Taiho Pharmaceutical Co., Ltd.)

【目的】5-Fluorouracil(5-FU)系薬剤は消化器癌の治療を中心に広く使用されているが、in vitro培養細胞系での実験および臨床での感受性因子に関する研究から5-FUの耐性には主としてThymidylate synthase(TS)活性(TSmRNA)の上昇が関与していると示唆されている。しかしながら細胞系では5-FUリン酸化酵素の低下も報告されており、種々の酵素がその耐性に関与している可能性がある。我々はヌードマウス移植ヒト大腸癌株を用いて 5-FU投与と継代を長期間繰り返し、in vivoでの5-FU耐性株を樹立してその耐性機序を検討した。【方法】ヒト大腸癌KM12C株をヌードマウスに移植し1週間後よりMTD量の5-FU (15 mg/kg x 7日, 又は 20 mg/kg x 5日)をip投与した。移植後3週目に腫瘍を摘出して継代移植し更に5-FUを投与した。この継代・5-FU処理を約3年にわたって繰り返して得られた株をKM12C/5-FUとし、親株と共に5-FU感受性および各種5-FU代謝酵素の変化を検討した。【結果と考察】5-FU(20 mg/kg x 5日)の抗腫瘍効果(IR)はKM12Cで約85%, KM12C/5-FUで約20%となり、KM12C/5-FUは明らかに5-FU耐性であった。5-FUの代謝酵素活性を比較した結果、KM12C/5-FU株では free TS活性の上昇が見られ、またRibonucleotide reductase(RNR)活性が約1/4に低下していた。以上の結果よりin vivoにおける5-FU耐性には少なくともTSの上昇とRNRの低下が相互に関与すると思われた。