ABSTRACT 2345(P12-13)
TZT-1027 の耐性機構の検討:藤尾奈美 小林基博 夏目紹隆 渡辺順一(帝国臓器・薬理研),塚越茂(癌研・癌研究所)
Analysis of TZT-1027 resistant mechanisms : Nami FUJIO1, Motohiro KOBAYASHI1, Tsugitaka NATSUME1, Jun-ichi WATANABE1, Shigeru TSUKAGOSHI2 ( 1Pharmacol.Res., Teikoku Hormone, 2Japanese Foundation for Cancer Research, Cancer Institute )
【目的】抗癌剤の多剤耐性には抗癌剤を排出する膜輸送蛋白が関与することが明らかにされており,その主要な一つとしてP-glycoprotein (P-gp)が知られている。今回我々は,現在開発中のTZT-1027 の耐性機構を解明する目的で,耐性機序にP-gpが関与していることが知られている vincristine (VCR) 耐性 および adriamycin(ADM) 耐性マウス白血病細胞 P388 (P388/VCR およびP388 /ADM)とP388 細胞で 樹立した 耐性株 P388/TZT-2,感受性株 P388 を用いて,薬物の殺細胞効果を比較検討した。
【結果】 P388/VCR およびP388 /ADMに対する TZT-1027 のIC50は,P388 と比較して, P388 /VCR に対して 7.9 倍, P388/ADM に対して83.3 倍の耐性を示したが, 依然としてVCR および ADM と比較して強い細胞増殖抑制作用を示した。またこの耐性は,verapamil 添加により P388 と同程度まで回復した。 さらに, 樹立した 耐性株 P388/TZT-2 ( 耐性度 1470 )に, P-gp(C219) の過剰発現が認められ,また,この耐性株に対して,VCR 及びpaclitaxel も耐性を示した。以上よりTZT-1027 の耐性に P-gp が一部関与していることが明らかとなった。