ABSTRACT 2346(P12-13)
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GSE法を用いた抗癌剤耐性に関与する遺伝子の同定:塚原里美,杉本芳一1,柳瀬香恵1,2,鶴尾隆1,31癌研・癌化療セ,2創価大・工3東大・分生研)

Identification of anticancer drug-resistance genes using GSE method: Satomi TSUKAHARA1, Yoshikazu SUGIMOTO1, Kae YANASE1,2 Takashi TSURUO1,3 (1Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res., 2Facul. Engineering, Soka Univ. 3Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo)

【目的】今回我々は遺伝子の機能不全あるいは発現低下による耐性化に関与する遺伝子の同定を目的として研究を行った。【方法】ヒトHeLa細胞あるいはマウスNIH3T3細胞のcDNAをLNCX retrovirus vectorに組み込んだGSE (Genetic Suppressor Element) libraryを作成した。このretrovirusの導入された細胞では、cDNAが順方向に組み込まれている場合は遺伝子産物の一部に相当するpeptideがその遺伝子産物の機能をdominant-negativeに阻害し、cDNAが逆方向に組み込まれている場合はその遺伝子のantisenseとして働くように構築されている。細胞にlibraryを導入後、Adriamycin、paclitaxel、mitomycin C、cisplatin、etoposideあるいはcamptothecinで選択してそれぞれの抗癌剤耐性クローンを得た。【結果および考察】これまでに200個以上の抗癌剤耐性クローンを樹立した。これらの耐性クローンに導入されたcDNAを単離して解析した結果、これまでに抗癌剤の感受性、耐性に関与する可能性のある約20種の遺伝子が単離された。これらの遺伝子は、癌細胞の抗癌剤耐性化機構の解明に役立つとともに、細胞を抗癌剤耐性にする遺伝子断片として、遺伝子治療への応用も期待される。