ポスターセッション

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脳腫瘍患者におけるThioredoxinの発現と薬剤耐性:阿部竜也¹，森照明¹，肥川誉慎¹，井上亮¹，桑野信彦²，南里宏樹³，河野公俊⁴，堀重昭¹(大分医大脳外¹，九大生化学²，産業医大健康開発科学³，分子生物⁴)　

Expression of thioredoxin and in patients with glioma.:Tatsuya ABE¹,Teruaki MORI¹,Takafumi HIKAWA¹, Ryo INUE¹, Michihiko KUWANO², Hiroki NANRI³, Kimitoshi KOHNOI⁴,Shigeaki HORI¹(Dept. of ¹Neurosurg., Oita Med.Univ. ²Dept. of Biochem., Kyushu Univ. School of Med. ⁴Dept. of Mole.Biology Univ. of Occupational and Enviromental Health)

［目的］Thioredoxin (TRX)はシスプラチンなどの薬剤耐性に関与していると考えられている。TRXの脳腫瘍患者での発現と、化学療法前後の変化を検討した。[対象と方法]glioblastoma [GB]16,　anaplastic astrocytoma　[AA]9, low grade astrocytoma[LGA]8の合計33例の腫瘍組織を、TRXのポリクロナール抗体を用い染色した。[結果]TRXの陽性率は54.5%(18/33;GB10/16, AA3/9,LGA5/8)であった。これらの発現は組織学的悪性度によらなかった。(2)VAC(VP16, ACNU, Carboplatin)療法後の再手術、剖検例の8例中7例では、化学療法前と比べ、TRXの過剰発現が観察された。同時に検討した多剤耐性関連蛋白(MRP)の発現も同様であった。[考察]発現を検討したTRXはラジカルを発生する薬剤の耐性に関与していると考えられている。今回の検討により脳腫瘍においてもその存在が明らかになり、VAC療法後に見られた過剰発現の結果よりこの遺伝子の脳腫瘍の薬剤耐性への関与が示唆され、脳腫瘍の化学療法を考える上で重要と思われた。脳腫瘍培養細胞系での発現についてもあわせて報告したい。