ABSTRACT 2358(P12-13)
ヒト乳癌細胞株 KT 由来の 5-fluorouracil 抵抗性株における 5-fluorouracil による細胞増殖刺激:武玉萍1、日和佐隆樹1、磯貝恵理子1、園田智子1、北浦皓三2、草田修2、鈴木信夫1(1千葉大・医・2生化 、2協和分析セ)
Stimulation of cell proliferation by 5-fluorouracil in a 5-fluorouracil-resistant variant human cell line derived from KT breast cancer cell line: Yu-Ping WU1, Takaki HIWASA1, Eriko ISOGAI1, Tomoko SONODA1, Kozo KITAURA2, Osamu KUSADA2, Nobuo SUZUKI1 (1Dept. of Biochem., Chiba Univ. Sch. Med, 2Kyowa Anal. Res. Ctr. )
EMS処理したヒトKT乳癌細胞株を致死濃度の5-fluoro-uracil(5-FU)で処理し、生存することができた細胞を5-FU-抵抗性株 KTFU-4 として 単離樹立した。KTFU-4 細胞の 5-FU に対する耐性化はコロニーサバイバルアッセイ法で検証した。0.1 μg/ml 5-FU 処理では非処理以上の生存率を示した。この 5-FU による増殖刺激は MTT 法によっても確認された。次に、この増殖刺激のメカニズムを知るため、5-FU処理後のシグナル伝達について MAPキナーゼ系などの反応をウエスタンブロッティング法により解析した。KTFU-4細胞においては5-FU処理後にリン酸化 ERK1/2と p38 MAPキナーゼの増加が認められた。しかし、リン酸化 SAPK の増加は見られなかった。一方、p21Cip1 も5-FU処理後4時間で増加した。このようなシグナル伝達分子の変化は親株KT細胞では観察されなかった。以上の結果から、KTFU-4 細胞では 5-FU の刺激により細胞増殖に関わるシグナル伝達経路が活性化されることが示唆された。