ABSTRACT 2361(P12-14)
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大腸癌に対するelectrochemotherapy (ECT)の検討−抗癌剤の相違による有用性の差異に関する検討−:美登路昭,栗山茂樹,菊川政次,辻之上裕久,富永謙太郎,中谷敏也,山崎正晴,長尾慎太郎,福井 博(奈良医大・3内)

Evaluation of chemotherapeutic agents for electrochemotherapy against colorectal carcinoma: Akira MITORO,Shigeki KURIYAMA,Masaji KIKUKAWA,Hirohisa TSUJINOUE,Kentarou TOMINAGA,Toshiya NAKATANI,Masaharu YAMAZAKI,Shintarou NAGAO,Hiroshi FUKUI (Third Dept.of Int.Med.,Nara Med.Univ.)

【目的】抗癌剤投与時にelectroporation (EP)を施行し抗腫瘍効果の増大をはかるECTにおいて,抗癌剤の相違による有用性の差異を検討した.【方法】colon26およびMC38マウス大腸癌細胞に,種々の抗癌剤存在下でEP (250 - 750 V/cm, 500 microfarad)を施行した後に4日間培養し,EPによる大腸癌細胞の抗癌剤に対する感受性の変化をMTTアッセイを用いて検討した.【成績】(1) 250, 500あるいは750 V/cmの条件でEPを行った際の細胞生存率は,それぞれ約100%, 100%, 80%であった.(2)ブレオマイシン(BLM)存在下に250 V/cmでEPを施行しても,大腸癌細胞のBLMに対する感受性は変化しなかったが,500V/cmでEPを行うとBLMに対する感受性は有意に上昇し,50%増殖阻害濃度(IC50)は約1/5に低下した.さらに、750 V/cmのEPではIC50は約1/3,000に低下した.(3)大腸癌に対する化学療法において頻用されているシスプラチン,フルオロウラシル,マイトマイシンC,ドキソルビシンあるいはビンクリスチン存在下に,750 V/cmの条件でEPを施行しても,大腸癌細胞のそれぞれの抗癌剤に対する感受性は有意な変化を認めなかった.【結語】BLMを用いたECTは,大腸癌に対する有効な治療法になり得る可能性が示された.