ABSTRACT 2362(P12-14)
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トラニラストとシスプラチン併用によるスキルス胃癌治療の試み:村橋邦康,八代正和,井上透,西村重彦,松岡翼,澤田鉄二,平川弘聖1,曽和融生21大阪市大・医・1外、2大阪市立総合医療センター)

A combination treatment of tranilast and cisplatin for scirrhous gastric carcinoma:Kuniyasu MURAHASHI, Masakazu YASHIRO, Toru INOUE, Shigehiko NISHIMURA, Tasuku MATUOKA, Tetsuji SAWADA, Kosei HIRAKAWA1, Michio SOWA2 (11st Dept. Surg., Osaka City Univ. Med. Sch. 2Osaka City General Med. Ctr.)

[目的]昨年本学会で我々は、4型スキルス胃癌の生物学的特性増殖に着目し、線維芽細胞の増殖を抑制する薬剤トラニラストを用いた治療の試みについて報告した。今回,シスプラチンとの併用によるスキルス胃癌への治療効果を検討したので報告する。[方法]当科で樹立した胃癌細胞株OCUM-2Mと胃壁由来線維芽細胞株NF-10を使用した。OCUM-2MとNF-10の混合培養に両薬剤を添加し、72時間後の細胞数を算定した。また、OCUM-2MとNF-10をヌードマウスの皮下に混合接種し、両薬剤投与を行い、腫瘍容積の経時的変化及び組織像に及ぼす影響を検討した。[結果]in vitroでは、NF-10のOCUM-2Mへの増殖促進作用は、トラニラストの投与により有意に抑制され,さらにシスプラチンと併用することにより,OCUM-2M増殖抑制効果の増強が認められた。in vivoにおいてもトラニラストは腫瘍の発育を有意に抑制し、シスプラチンとの併用により抑制効果が増強された。両薬剤の併用により組織像は間質成分の少ない低分化型腺癌を程し、mitosis像の減少とapoptosisの増加が認められた。[結語]トラニラストとシスプラチンの併用は,スキルス胃癌に有効であることが示唆された。