ABSTRACT 2364(P12-14)
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ポリエチレングリコール結合キサンチンオキシダーゼの体内動態とその抗腫瘍活性:澤 智裕、呉 軍、赤池孝章、前田 浩(熊本大・医・微生物)

Body distribution and antitumor activity of xanthine oxidase conjugated with poly(ethylene glycol): Tomohiro SAWA, Jun WU, Takaaki AKAIKE, Hiroshi MAEDA (Dept. Microbiol., Kumamoto Univ. Sch. Med.)

[目的]我々はこれまで、キサンチンオキシダーゼ(XO)の分子表面をポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾したPEG-XOが、XOの基質であるヒポキサンチンとの併用投与により優れた抗腫瘍活性を示すことを明らかにした。一方、未修飾XOは、PEG-XOに比べてその活性が顕著に低かった。今回の実験では、PEG-XOおよび未修飾XOの固形腫瘍への集積性を調べ、PEG修飾の効果について検討した。[実験]腫瘍モデルはddY miceの背部皮下にS-180細胞を移植して作製した。スクシンイミドで活性化したPEGを用いて、XO分子中の約49%のリジン残基をPEG修飾した。PEG-XOおよび未修飾XOをクロラミンT法により[125I]でラベルした。[125I]PEG-XOおよび未修飾XOを上記担癌マウスへ尾静脈より投与し、一定時間後、各種正常臓器および腫瘍を摘出し、放射活性の集積を測定した。[結果と考察]血中投与24時間後の未修飾XOに基づくと考えられる放射活性は、肝臓において最も高く、次いで腎臓、脾臓、血中、腫瘍となった。一方、PEG-XOの場合の放射活性は、肝臓、血中、腫瘍、脾臓、腎臓の順となった。肝臓での放射活性は未修飾XOおよびPEG-XOでほとんど差がなく、また腫瘍/肝臓比は、未修飾XOで0.21、PEG-XOで0.51となり、PEG修飾により腫瘍への選択性が2倍以上増すことが示唆された。また、放射活性の絶対量としてもPEG-XOは未修飾XOに比べ2.8倍高かった。以上の結果より、PEG修飾により、XOはより腫瘍選択的に、かつ、効率よく腫瘍へデリバーされることにより高い抗腫瘍活性が発現したと考えられた。