ABSTRACT 2365(P12-14)
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ヒト胃癌細胞株における低浸透圧溶液によるCDDP 感受性の増強:近藤 亮,岡伸一,斉藤博昭,辻谷俊一,池口正英,前田迪郎,貝原信明(鳥取大・医・1外)

Enhancement of antitumor activity of Cisplatin on human gastric cancer cell lines by hypotonic solution: Akira KONDO, Shinichi OKA, Hiroaki SAITO, Shunichi TSUJITANI, Masahide IKEGUCHI, Michio MAETA, Nobuaki KAIBARA (Dept. of Surg. 1, Fac. of Med., Tottori Univ.)

(目的)低浸透圧溶液が CDDP 感受性に及ぼす影響をヒト胃癌細胞株を用いて調べた.(方法)1) 胃癌細胞株(KATO III および MKN 45)を 96 well plate に加えた 24時間後に,生理食塩水または蒸留水で各種濃度に希釈した細胞培養液を各well に加え,60 分培養後,洗浄.新たに希釈を行わない細胞培養液を加え,さらに 72時間培養後の細胞の生存率を MTT 法で測定した.2)CDDP含有溶液を低浸透圧群(浸透圧 174.5 ±1.4 mOSM)および等浸透圧群(浸透圧 308.3±1.3 mOSM)に分け,96 well plate に加えた胃癌細胞株と60 分反応させた後,1)と同様に細胞の生存率を測定し,50% 増殖抑制濃度(IC50)を計算した.
(結果)1)培養液を生理食塩水で希釈していくと,細胞の生存率は 50% の希釈度までは希釈しない培養液と差はないが,生理食塩水のみになると,16〜45% に低下した.また,蒸留水で希釈していくと,細胞の生存率は50% の希釈度までは希釈しない培養液の90% を保っているが,25%の希釈度で65% に低下し,蒸留水のみでは生存している細胞は認められなかった.2)IC50値は,いずれの癌細胞株でも低浸透圧群で有意に低く,等浸透圧群の1/8〜1/10であった.(まとめ)ヒト胃癌細胞株に対するCDDPの感受性は, 低浸透圧溶液により大幅に増強された.