ABSTRACT 2366(P12-14)
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骨髄腫細胞におけるアルギニンと抗癌剤による増殖抑制の相乗作用:栗林範臣、松崎博充、畑 裕之、松野文彦、園木孝志、長崎明利、木村竜也、原田奈穂子、満屋裕明(熊本大・医・二内)

Synergistic growth inhibition against myeloma cells in vitro by combination of arginine and anti-cancer drugs: Noriomi KURIBAYASHI, Hiromitsu MATSUZAKI, Hiroyuki HATA, Fumihiko MATSUNO, Takashi SONOKI, Akitoshi NAGASAKI, Tatsuya KIMURA, Naoko HARADA, Hiroaki MITSUYA (Second Dep. of Int. Med., Kumamoto University School of Med.)

(目的)我々は骨髄腫細胞株においてアルギニンがCaspase3を活性化しアポトーシスを誘導することを報告した(第60回日本血液学会総会)。今回、各種抗癌剤の増殖抑制効果に及ぼすアルギニンの影響を検討した。(方法)4種類の骨髄腫細胞株(KHM-11, KHM-4, RPMI 8226, U266) をメルファラン (L-PAM) 、ドキソルビシン (DOX)、エトポシド (ETP) とともに培養し、細胞株への3H-チミジンの取り込みを検討した。アポトーシスの誘導はApo2.7抗原の発現をフローサイトメトリーで検討した。(結果)アルギニンでアポトーシスを起こしやすい細胞株は、抗癌剤とアルギニンとの相乗作用を示す傾向があった。一方、アルギニンでアポトーシスを起こしにくい細胞株では相乗作用は認められなかった。(考察)アルギニンがアポトーシスを誘導する機序は、Caspase3の活性化以外には不明である。アルギニンは能動輸送されるため、アルギニンに対する感受性の差が輸送効率の差のためかどうか検討を加えたい。メルファランはアミノ酸であるフェニルアラニンの誘導体であり、アルギニンの誘導体が、骨髄腫細胞にメルファランと同等かそれ以上の効果を持つことも考えられる。アルギニンの投与が多剤耐性となった骨髄腫に有用であるかどうかも興味深い。