ポスターセッション

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電撃化学療法のハムスタ−舌癌に対する抗腫瘍効果の検討：大村　進、太田信介、露木良治、武川寛樹、川辺良一（横浜市大・医・口外）

In vivo antitumor effects of electrochemotherapy in a tongue cancer model: Susumu OMURA, Shinsuke Ota, Yoshiharu TUYUKI, Hiroki BUKAWA, Ryoichi KAWABE (Dept. Oral Maxillofac. Surg., Yokohama City Univ. Sch. Med.)

電撃化学療法は、高濃度の抗癌剤の細胞内導入に電気穿孔法の原理を応用した新しい癌化学療法として注目されつつある。電気穿孔ための電撃処理を、舌癌では直視下で容易に行うことができることから、本法は舌癌に対し有効な治療法となる可能性を有している。目的：DMBA誘発ハムスタ−舌癌を用い、bleomycinを抗癌剤とする電撃化学療法を行い、抗腫瘍効果と周囲正常組織に対する影響について検討する。実験動物と実験方法：腫瘍長径が約10mm前後のDMBA誘発ハムスタ−舌癌を実験対象とし、各群5例で行った。電撃処理は加圧電圧130 v/mm, 99μs, 8 pulsesの条件で径10mmの円形の電極板2枚を用いて行った。実験群は未処理群、電撃処理単独群、bleomycin投与単独群、電撃処理＋bleomycin投与群の4群で、さらに　bleomycinの投与方法は LD₅₀の1／100の腹腔内投与（全身投与群）、 bleomycin２０μｇの腫瘍内局注（局注群）、 LD₅₀の1／500の腹腔内投与下bleomycin２０μｇの腫瘍内局注の併用（併用群）の3法で比較した。抗腫瘍効果は腫瘍体積の変化をGiavazziの式により経時的に計測し、2、４週間後に周囲正常組織も含めて組織学的に検索した。実験結果と考察：bleomycin投与単独群、電撃処理単独群、未処理群ではいずれも観察期間で腫瘍の著明な増大を認めた。電撃処理＋bleomycin投与群では、bleomycinの投与経路に関わらず全例著明な腫瘍の縮小を認めた。特に腹腔内投与と腫瘍内局注の併用群では5例中4例（CR率80％）で腫瘍は完全に消失し、組織学的にも腫瘍細胞の残存を認めなかった。 電撃処理＋bleomycin投与群の治療後3日から7日にかけて、腫瘍周囲舌筋に一過性の強い浮腫を認めた。　DMBA誘発ハムスタ−舌癌に対しbleomycinを用いた電撃化学療法は著明な抗腫瘍効果を示した。一回の電撃化学療法で重大な副作用も無く腫瘍は完全に消失しており、新たな口腔癌の治療法として臨床への応用が期待される。