ABSTRACT 2375(P12-14)
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HL60細胞並びにヒト単核球間におけるAnthracyclines取り込みへのNucleoside輸送機構の関与の比較:
長澤一樹, 大西憲明, 横山照由(京都薬大・病薬)

Comparison of contribution of nucleoside transport systems to anthracycline transport between HL60 and human mononuclear cells: Kazuki NAGASAWA, Noriaki OHNISHI, Teruyoshi YOKOYAMA (Dept. Hosp. Pharm., Kyoto Pharm. Univ.)

【目的】我々はHL60細胞並びにヒト単核球(MNCs)におけるdoxorubicin (DOX)、pirarubicin (THP)、daunorubicin (DNR)及びidarubicin (IDA)の取り込みは担体系を介するものであることを既に報告した。今回、これら担体の実体解明を目的として、nucleoside輸送機構の関与について検討し、薬物間及び細胞間でその関与について比較した。
【方法】HL60細胞は10%FBS添加RPMI1640培地中にて培養した。MNCsはヒト末梢血から密度勾配遠心法により単離精製した。実験には全てcholine buffer中において代謝阻害剤で前処理し、ATP含量の低下した細胞を用いた。取り込み実験は細胞と薬物とをnucleoside輸送担体阻害剤の存在下又は非存在下で一定時間反応させた後、氷冷choline bufferで反応を停止することにより行った。細胞内薬物濃度は蛍光HPLC法により測定した。
【結果・考察】HL60細胞によるDOX及びTHPの取り込みはnucleoside輸送担体阻害剤により一部阻害されたが、DNR及びIDA取り込みは変化しなかった。一方、MNCsによるこれら4剤の取り込みはいずれの阻害剤によっても影響されなかった。これらのことから、HL60細胞によるDOX及びTHP取り込みは一部nucleoside輸送機構を介すが、DNR及びIDAの場合本機構を介さないこと、並びにMNCsにおけるこれら4剤の取り込みにはnucleoside輸送機構は関与しないことが推察された。したがって、anthracyclines取り込みへのnucleoside輸送機構の関与は、薬物間及び細胞種によって少なくとも一部異なる可能性が示された。