ABSTRACT 2380(P12-14)
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多剤耐性克服薬MS-209とPaclitaxelの併用効果の検討:木村喜光1, 青木淳1, 上山勉1, 福井英雄1, 深澤信幸2, 内藤幹彦3, 鶴尾隆31三井製薬・生科研, 2三井化学・ライフサイエンス研, 3東大・分生研)

Combined effect of Paclitaxel and a multidrug resistance reversing agent, MS-209: Yoshimitsu KIMURA1, Jun AOKI1, Tsutomu UEYAMA1, Hideo FUKUI1, Nobuyuki FUKAZAWA2, Mikihiko NAITO3, Takashi TURUO3(1Inst. Biol. Sci., Mitsui Parmaceut. Inc., 2Life Sci. Lab., Mitsui Chem. Inc., 3Inst. Mol. Cell Biol., Univ. Tokyo)

【目的】現在臨床試験中の多剤耐性克服薬MS-209はアンスラサイクリン系、ビンカアルカロイド系等の制癌剤の効果を増強することが明らかになっている。今回、我々はMS-209によるPaclitaxel(Taxol)の耐性克服作用について検討を行うと共にPaclitaxel経口投与時のMS-209の併用効果についての検討を行った。【方法】MS-209のin vitro耐性克服作用はPaclitaxel耐性マウス白血病細胞株(P388/Taxol)を用いたMTT法により検討した。また、in vivo耐性克服作用はP388/Taxol移植マウスにおける延命効果によって評価した。一方、Paclitaxel経口投与時のMS-209の併用効果はB16メラノーマ細胞移植マウスを用いた抗腫瘍試験によって評価した。また、Paclitaxelの経口吸収性の検討はマウス及びラットによる3H-Paclitaxelの血漿中放射能濃度の測定によって行った。【結果、考察】MS-209はin vitroにおいてP388/Taxolの耐性をほぼ完全に克服した。また、MS-209の併用によりin vivoにおいて延命効果が認められた。一方、経口投与されたPaclitaxelは単独では全く抗腫瘍効果は示さなかったが、MS-209の併用により抗腫瘍効果が認められた。経口投与時のPaclitaxelの血漿中濃度はMS-209の併用によって有意に上昇した。以上の結果より、MS-209によってin vitro, in vivoにおいてPaclitaxelの耐性が解除できることが示された。また、MS-209の併用によってPaclitaxelの経口吸収性が改善され、抗腫瘍効果が発揮できる可能性が示された。