ABSTRACT 2384(P12-14)
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卵巣癌腹腔内化学療法におけるCisplatin-Containing Microsphereを用いたdose-intensity強化の試み―基礎的、臨床的検討―

久留米大学産婦人科
熊谷晴介、杉山 徹、西田 敬、薬師寺道明
京都大学生体医療工学研究センター
玄 丞烋、筏 義人

[目的]安定した徐放効果を有するCisplatin-containing microsphere(CDDP-MS)を用いて、卵巣癌腹腔内化学療法における薬物動態的利点を検討した。[対象と方法]L-lactic acid and glycolic acid copolymerを用い、oil-in-oil emulsion methodにてCDDP-MS(直径100μm、cisplatin 5%含有)を作成し、in vitro、in vivoにて検討を行った。この結果に基づき、腹腔内に微小病巣を有する再発卵巣癌を対象に、informed consent下に注射用Cisplatin水溶液100J(10例)あるいはCDDP-MS(cisplatin 200mg含有)(5例)を腹腔内投与し、血清、腹水中のプラチナ濃度の推移及び毒性について検討を行った。[成績]in vitro study:CDDP-MSは、その80%が3週間で徐々に放出された。in vivo study:LD50は、CDDP-MSがCisplatin水溶液の約4倍を示した。CDDP-MSは、Cisplatin水溶液の1-4倍のcisplatinを含有していたが、最高血清中プラチナ濃度は低く、安定した徐放効果が推察された。その一方で腹腔内腫瘍、大網には高い集積が認められた。臨床投与:基礎的検討と同様に、CDDP-MSは血清中、腹水中のプラチナ濃度において、安定した徐放効果を反映した。両薬剤とも毒性に差はなく、grade 3以上の毒性は認めなかった。[結論]Cisplatinの剤形を修飾したCDDP-MSは腹腔内投与で、毒性を増すことなく、cisplatinのdose-intensity強化に有用と考えられた。