ポスターセッション

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音響化学療法の研究　フォトフリンIIと超音波併用による化学誘発乳癌の治療：弓田長彦¹, 奥山伸男², 梅村晋一郎³, 佐々木一昭³, 西垣隆一郎¹ (¹東邦大学・薬・薬物動態, ²東邦大学・医・胸心外科, ³日立製作所)

Study on sonodynamic therapy -Sonodynamic treatment of chemically induced mammary tumor with Photofrin II-: Nagahiko YUMITA¹, Nobuo OKUYAMA², Shin-ichiro UMEMURA³, Kazuaki SASAKI³, Ryuichiro NISHIGAKI¹ ( ¹Sch. Pharm. Sci. Toho Univ., ² Sch. Med. Sci. Toho Univ., ³Hitachi Ltd.)

【目的】選択的な癌治療を目的とし, 患部に集積した薬物を投与後，超音波で抗腫瘍活性化する音響化学療法の研究を進めてきた．今回は, 乳癌への応用の基礎的研究として, ラット化学誘発乳癌を作成し, フォトフリンII (Phf II) の腫瘍集積性と，超音波との併用による抗腫瘍効果を検討した.【方法】ジメチルベンズアンスラセン経口投与で誘発させたラット乳癌に対して音響化学療法を試みた．腫瘍径が約10 mmに達した時点（約1ヶ月）でラットを (1) 無処置群, (2) Phf II 投与群, (3) 超音波照射群, 投与群に分け処置した. Phf IIは, 2.5 mg/kgを, (4) Phf II ＋超音波照射併用の場合は照射24時間前に, 静注した. 超音波照射には, 平面型PZT振動子(周波数1 MHz，強度3 W/cm²)を使用し, 腫瘍のある乳房を体から引き離した状態で15分間接触照射した. 増殖抑制効果は21日間の腫瘍体積増加曲線により判定した．血液，皮膚，および腫瘍中Phf II濃度は, 抽出後, 総蛍光強度を測定することにより定量した.【結果・考察】投与24時間後の腫瘍中Phf II濃度は血漿中濃度の約12倍となり, Phf IIの腫瘍に対する集積性が示された． 各処置後の腫瘍増殖曲線において, (1) 無処置群と比べ (2) Phf II 投与単独は,腫瘍増殖に影響を与えなかった．(3) 超音波照射単独は,増殖抑制を示さなかった. (4) Phf II併用により, 超音波の増殖抑制効果は増強された. 以上の結果から, 化学誘発乳癌に対するPhf IIの集積性と, Phf IIを用いた音響化学療法の有用性が示された．