ABSTRACT 2404(P12-17)
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Eectroporationの癌治療への応用に関する研究:植物由来のトキシン、サポリン、の併用による癌細胞障害効果の増強:松永恵子、真柴温一(九州がんセ・免疫)

The utilization of electroporation for cancer therapy : augmentation of cytotoxic effect in combined use with saporin : Harukazu MASHIBA, Keiko MATSUNAGA (Div. of Immunology, Natl. Kyushu Cancer Center)

[目的]高圧パルス負荷によるelectroporation (EP) を癌治療に応用することを目的とし、今回は、植物由来のトキシンであるサポリンとEPを併用することによりトキシンを、直接、癌細胞内に移入させリボゾームの不活化により細胞障害効果を増強させることを目的とした。
[方法および結果]ヒト細胞株として子宮頚癌細胞(HeLa)、卵巣癌細胞(HOC)、膵癌細胞(ASPC-1)を用い、マウス由来の細胞株としてMethA腫瘍細胞を用いた。トキシンとして、細胞結合鎖(B chain)を持たないため細胞外では殆ど毒性を示さないサポリンを用いた。標的細胞を培養液または種々の濃度に希釈したトキシンと共にEP用cuvetteに注入し、EP後、同濃度になるように血清加培養液またはトキシンを添加し、24-well plateで72時間培養した。細胞障害効果は、トリプシン処理後、生細胞数を算定することにより判定した。EP非処理細胞に対してサポリン(0.1-1000ng/ml)は、細胞障害作用を示さなかった。一方、サポリン存在下でEP処理(600-750V/cm, 40 ms, n=1)により、各種癌細胞に対して著明な細胞障害効果が認められ、HeLa,HOC,ASPC-1およびMethA細胞に対し、EP(600V/cm)とサポリン(10 ng/ml)の併用により、それぞれ、95.7%,100%,97.5%および98.6%であった。EP電圧およびサポリン濃度の増加により、さらに、細胞障害効果は増強された。以上の結果から、細胞外では殆ど毒性を示さないサポリンを用い、サポリン存在下でEP処理することにより各種癌細胞の細胞内に、直接、移入させることにより、癌細胞に対して選択的に、しかも、高度の障害効果を得、癌治療への応用の可能性が示唆された。