ABSTRACT 2407(P12-17)
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ヒト消化器癌におけるcompetitive PCR法による微量検体を用いたチミジル酸合成酵素mRNAの定量:森下 実,川上和之,大村健二,渡辺洋宇(金沢大・医・1外)

Quantification of thymidylate synthase mRNA by competitive PCR using very small tissues in human gastrointestinal cancer:Minoru MORISHITA,Kazuyuki KAWAKAMI,Kenji OMURA,Yoh WATANABE(1st Dept.Surg., Sch.Med., Kanazawa Univ.)

【目的】Competitive PCR法によるチミジル酸合成酵素(以下TS) mRNAの定量を試み,その信頼性について検討した.【対象と方法】ヒト消化器癌由来継代細胞株9種,手術により摘出された胃癌15検体,大腸癌35検体,胃癌腹膜播種1検体を対象に本法によるTS mRNAの定量およびTS蛋白量測定を行った.なお,コントロールとしてβ-actin mRNAの定量も同様に行い,TS mRNA量はTS mRNA/β-actin mRNA比(TS/actin比)として表した.【結果と考察】継代細胞株9種におけるTS /actin比とTS蛋白量との間には有意な正の相関を認めた(r=0.85,p<0.01).手術検体51例におけるTS /actin比は1.63±1.57×10-2,TS蛋白量は2.18±1.73pmol/g・tissueであり,TS /actin比とTS蛋白量との間には有意な正の相関を認めた(r=0.57,p<0.01).術前生検組織におけるTS /actin比と,同一症例における手術検体のTS /actin比との間には高い正の相関を認めた(r=0.94,p<0.01).以上より,本法を用いて測定した生検組織のTS mRNA量は手術検体のTS mRNA量およびTS蛋白量と高い正の相関を有することが判明した.さらに,TS /actin比と臨床病理学的所見との比較検討についても報告する.