ABSTRACT 2408(P12-17)
脂肪酸による悪性腫瘍細胞傷害に関する研究 その2─種々の癌細胞への脂肪酸の影響─:北野悦子, 北村肇(大阪府立看護大医短・臨床検査)
Study on cytotoxicity of fatty acids to malignant cells, No.2: Experiments using various kinds of cancer cell lines: Etsuko KITANO, Hajime KITAMURA (Dept. of Medical Technology, Osaka Pref. Coll. of Health Sciences)
【はじめに】昨年,我々は種々の脂肪酸のK562細胞への傷害効果を検討し,ポリエン酸だけではなく飽和酸やモノエン酸の中にも強い細胞傷害作用を持つものがあり,その効果は脂肪酸の構造に依存することを報告した.今回はその他の癌細胞への脂肪酸の細胞傷害性について検討した.【方法】胃癌由来細胞など種々の癌細胞を種々の濃度の脂肪酸を含む無蛋白培養液(PFHM-II)中で2-3日培養し,細胞傷害率(%)を調べた.【結果】MKN45細胞に対する細胞傷害性は,飽和酸では12:0と13:0が効果が強く(細胞傷害率>98%),次いで14:0や11:0,モノエン酸では14:1(9)および16:1(9)とそれらのトランス型が強く,次いで18:1(9),ポリエン酸では検討したほとんどが強い細胞傷害効果を示した.18:1の二重結合位置異性体を比較すると,6位,9位および11位にシス型二重結合を持つ異性体の効果は強かったが,7位,12位および13位にそれを持つ異性体には傷害作用はなかった.以上はK562細胞や他の胃癌由来細胞でも同様であった.【結論】脂肪酸はその構造に依存して,K562細胞以外の癌細胞に対しても,強い細胞傷害作用を持つことが示された.エステル化された脂肪酸の細胞傷害効果についても発表する.