ABSTRACT 2445(P14)
新規化合物(KNK437)による温熱耐性獲得阻害とストレス蛋白質誘導阻害: 横田真一,北原幹郎(鐘淵化学・総研・高砂研究所)
Inhibition of the acquisition of thermotolerance and the induction of stress proteins by novel compound(KNK437) : Shin-ichi YOKOTA and Mikio KITAHARA (Takasago Research Laboratories, Research Institute, Kaneka Corporation)
癌細胞の温熱耐性獲得阻害を目的とした熱ショック転写因子(HSF)活性化阻害剤の探索を行い、新規の温熱耐性獲得阻害剤(KNK437)を見いだした。又その薬剤はストレス蛋白質を特異的に阻害した。温熱耐性獲得阻害効果はヒト培養細胞(COLO320DM及びHelaS3)を用いたハイパーサーミア実験を行い、コロニー形成法による生存率で影響を調べた。ストレス蛋白質の合成量は放射性メチオニンでラベルした細胞の2次元電気泳動及びウエスタンブロット法により検討した。その結果KNK437は細胞の温熱耐性獲得を濃度依存的に阻害し、単回の温熱処理のみでは生存率に影響しなかった。またAs処理による温熱耐性獲得も阻害した。KNK437処理により複数のストレス蛋白質の誘導阻害が見られ、さらにノザン解析の結果その阻害はmRNAレベルで起こっていた。KNK437はHSF活性化阻害によるストレス蛋白質誘導阻害作用を持ち、温熱療法時に問題となる温熱耐性獲得を阻害する有効な薬剤となる可能性が示唆された。