ABSTRACT 2447(P14)
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p53遺伝子導入ヒト培養細胞におけるグリセロールによる変異型p53蛋白質の正常型p53蛋白質への機能回復:大西健1, 高橋昭久1, 玉本哲郎2, 岡市協生, 大西武雄1(奈良医大・1生物・2腫放, 長崎大・原研放射)

Glycerol-induced recovery of normal p53 function of mutant p53 in human cultured cells transfected with p53 gene: Ken OHNISHI1, Akihisa TAKAHASHI1, Tetsuro TAMAMOTO2, Kumio OKAICHI3, Takeo OHNISHI1 (Depts.1Biol., 2Oncoradiol. Nara Med. Univ., 3Dept. Radiat. Biophys. Atomic Dis. Inst. Nagasaki Univ.)
 
[目的] 正常型p53を持つヒト神経膠芽腫培養細胞(A-172)及びp53欠損ヒト骨肉腫腫培養細胞(Saos-2)に正常型あるいは変異型p53遺伝子の導入を行ない、p53の遺伝子型のみが異なる細胞系でグリセロール処理による変異型p53の正常型p53への機能的変化が起こるかどうかを調べた。
[方法]A-172細胞に変異型p53(p53Trp248)発現ベクター(pC53-248)及びコントロールとしてベクター(pCMV-NEO-BAM 6.6Kb) のみをElectroporation 法(600 V/4 mm, 3 times)で導入した。温熱処理(44℃, 30 min)後、p53及びWAF1蛋白質の細胞内含有量を抗p53モノクローナル抗体(DO-1)及び抗WAF1抗体(Ab-1, C-19)を用いWestern-Blot法で定量した。また、温熱感受性はコロニー形成法で解析した。
[結果・考察]変異型p53導入細胞は温熱によるWAF1蓄積誘導は見られないが、グリセロール処理によって温熱後のWAF1蓄積誘導が見られた。また、変異型p53導入細胞は親株に比べ温熱抵抗性を示すものの、グリセロール処理によって親株に近い温熱感受性を示すようになった。以上の結果は、グリセロール処理により変異型p53が正常型p53の持つ機能を回復した可能性を示唆する。