ABSTRACT 2450(P14)
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培養網膜芽細胞腫細胞に於ける温熱及び温熱―薬剤の効果について:猪俣素子1,金子明博2,西條長宏3(国立がんセ・1研・薬効試験,・中央病・2眼,3内)

Effects of hyperthermia alone or in combination with antitumor drugs on cultured retinoblastoma cells: Motoko INOMATA1, Akihiro KANEKO2, and Nagahiro SAIJO3(1Pharmacol.Div., Natl. Cancer Res. Inst., 2Dept. Ophthalmol, 3Dept. Int. Med. Natl. Cancer Ctr. Hosp.)

[目的]小児の眼の癌である網膜芽細胞腫(Rb)の治療に於て化学療法は通常用いられないが、再発及び眼球保存療法等では必然的に適用される。しかし完全治癒が得られない場合もありその適用には更に改良が必要である。今回、他の癌治療に於いて優れた効果が報告されている温熱療法及び温熱ー化学療法の効果を、手術材料より得られたRb細胞を用いて調べたので報告する。[方法]手術材料より採取したRb細胞を42℃にて単独又は最高血中濃度の1/10の濃度の薬剤と併用して1時間インキュベートした後、薬剤は除去して二重軟寒天上層に蒔く。3-4週間後にコロニー数を測定し37℃処置のコントロール群と比較した。[結果・考察]Rb細胞の温度感受性は検体によって異なり、50例中、10例(20%)は42℃1時間の処置で70%以上のコロニー抑制率を示した。抑制率の全検体に於ける平均値は46%で、温熱単独の治療では臨床上不充分である可能性を示唆した。一方臨床上Rbに有効とされているアルキル化剤メルファラン(PAM)は単独では29/43例(67%)が70%以上のコロニー抑制率を示した。温熱とPAMを併用すると41/43例に70%以上のコロニー抑制率を示し、温熱-PAM併用療法の臨床上での有用性を示唆した。樹立Rb細胞株Y-79、WERI-Rb1株が42℃ 1時間の処置に対し各T/C% 63%、2.7%と非常に異なった感受性を示したので、目下これらの細胞株を用いて温熱に対する細胞の感受性を規定する因子を検索中である。