ABSTRACT 2455(P14)
変異型p53遺伝子導入ヒト神経膠芽腫培養細胞A-172における放射線感受性:玉本哲郎1, 大西健2, 高橋昭久2, 吉村均1, 大石元1, 打田日出夫3,大西武雄2(奈良医大・1腫放・2生物・3放)
Radiosensitivity of human glioblastoma cells (A-172) transfected with mutant p53 gene: Tetsuro TAMAMOTO1, Ken OHNISHI2, Akihisa TAKAHASHI2, Hitoshi YOSHIMURA1, Hajime OHISHI1, Hideo UCHIDA3, Takeo OHNISHI2 (Depts.1Oncoradiol., 2Biol., 3Radiol. Nara Med. Univ.)
[目的]我々はこれまでp53 statusの異なるヒト神経膠芽腫培養細胞(A-172/wtp53, T98G/mp53)を用いて放射線感受性がp53 statusに依存していることを示唆してきた。今回はこのp53依存性を明確にするため、A-172細胞に変異型p53を導入し、p53のstatusのみが異なる導入細胞の放射線に対する感受性とp53によるWAF1形質発現誘導能について検討した。
[方法]A-172細胞に変異型p53(p53Trp248)発現ベクター(pCMV-NEO-BAM 6.6Kb)及びコントロールとしてベクターのみをElectroporation 法(600 V/4 mm, 3 times)で導入した。γ線あるいはX線照射後、p53及びWAF1蛋白質の細胞内含有量を抗p53モノクローナル抗体(DO-1)及び抗WAF1抗体(Ab-1, C-19)を用いWestern-Blot法で定量した。また、感受性はコロニーアッセイ法で解析した。
[結果・考察]A-172細胞及びコントロールベクター導入細胞では、p53蛋白質の蓄積に続きWAF1蛋白質の蓄積誘導が放射線照射後に見られたが、変異型p53導入A-172細胞(A-172/248)ではWAF1蛋白質の蓄積誘導が認められなかった。これはp53蛋白質が持つnegative dominantの性質によると考えられる。また、T98G細胞はA-172細胞に比べ放射線抵抗性であったが、A-172/248細胞はT98G細胞に似た放射線抵抗性を示すようになった。さらに、放射線照射後の温熱処理により、T98G細胞及びA-172/248細胞では併用効果が相加的であったが、A-172細胞では相乗的であった。以上の結果から、放射線感受性はp53遺伝子のstatusに依存していることが明らかとなった。