ABSTRACT 2461(P14)
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悪性グリオーマに対する重粒子線治療の基礎的研究(第2報):垰本勝司1, 伊地智昭浩1, 廣田佐栄子2、副島俊典2、入江俊章3、 (兵庫成人セ・脳外1、放射線2、放医研高次機能診断3、)

Basic study on the heavy ion radiation therapy for malignant glioma (2nd report): KatsushiTAOMOTO1), Akihiro IJICHI1), Saeko HIROTA2), Toshinori SOEJIMA2), Toshiaki IRIE3) (1)Dept. of Neurosurg, Radiol. 2), Hyogo Med. Ctr. for Adults. 3) Div. of Clin. Res. and Rad. Health ,NI RS.)

【目的】放射線抵抗性ヒト悪性 glioma の実験モデルを用いた重粒子線による治療効果の基礎的検討第2報。
【対象及び方法】(1) nude rats脳内移植ヒト悪性glioma細胞U-251MG腫瘍に対し重粒子線1回照射(10, 20, 30Gy)(n=62)の効果及び組織学的変化をLinac照射群(10, 20, 30, 40Gy)(n=20)と比較検討し、重粒子線に関して1回照射と3回分割照射(n=22)の比較検討も行った。重粒子線照射は放医研 (千葉)にて施行した。
【結果】1) 治療前Gd-enhanced MRIで腫瘍最大径が<5mmではHIMAC1回10〜20Gy照射で40%に縮小ないし消失、>5mmでは腫瘍増大により死亡した。2)HIMAC照射は1回線量が30-40Gyでは急性期放射線障害により死亡し、生存期間に非照射群と差なく、1回線量が10Gy照射では有意に生存期間の延長を認めた。3) 10及び15 Gy1回照射より5Gy3回分割照射群が生存期間は長かった。4)組織学的変化は凝固壊死が主体で、Apoptosisを示唆する変化は乏しかった。5) MIB-1染色で残存腫瘍の陽性率は照射線量に比例して低く非照射群とは有意差あり。 6) VEGF陽性細胞は壊死周辺の腫瘍細胞に多く認めた。7) 脳内移植腫瘍におけるRat BBBの変化は腫瘍内部以外に腫瘍辺縁の浸潤部でも認められた。
【結論】悪性gliomaの重粒子線による放射線治療で前回報告の皮下移植腫瘍に比し脳内腫瘍で縮小効果が少なかった理由として脳内の環境以外に照射法の問題が考えられるため、今後更に照射法の検討が必要と考えられる。