ABSTRACT 2465(P14)
新規tyrphostin TX-1123の分子設計 :低ミトコンドリア・サイトトキシン活性をもつprotein tyrosine kinase 阻害剤の創製:堀 均1,石橋賢樹1,葛西宗江1,宇都義浩1,永沢秀子1,上原至雅2(1徳島大・工・生物工学 ,2国立感染研・生物活性物質)
Molecular design of new tyrphostin TX-1123: Development of protein tyrosine kinase inhibitor with low mitochondrial cytotoxicity: Hitoshi HORI1, Masaki ISHIBASHI1, Soko KASAI1, Yoshihiro UTO1, HidekoNAGASAWA1, Yoshimasa UEHARA2 (1Dept. Biol. Sci. Tech., Fac. Engg., Univ.Tokushima, 2Dept. Bioactive Molecules, Natl. Inst. Infectious Diseases)
【目的】protein tyrosine kinase(PTK)阻害剤tyrphostin AG17は制がん剤として検討されているが,強力なミトコンドリア・サイトトキシン活性もあり,副作用の点で問題がある.我々は低ミトコンドリア・サイトトキシン活性をもつPTK 阻害剤の創製を目的に,TX-1123及びその誘導体のミトコンドリア・サイトトキシン活性を検討した.
【方法】TX-1123 (2-{[3,5-di(tert-butyl)-4-hydroxyphenyl] methylene}-4-cyclopentene-1,3-dione)はAG17の分子モデリングにより分子設計,合成した.ミトコンドリア・サイトトキシン活性として,アンカップラー作用(最大アンカップラー作用濃度:Cmax)を酸素消費速度から,ATP合成阻害活性(IC50)をpH変化により評価した.
【結果】TX-1123およびそのすべての誘導体のアンカップラー作用およびATP合成阻害活性はAG17と比較して低い値であった.TX-1123のアンカップラー作用はCmax=3μMで,ATP合成阻害活性はIC50=4 μMで,AG17ではCmax=18 nMおよびIC50=2.1 nMであった.以上の結果はTX-1123がAG17より臨床応用できるPTK阻害活性をもつ新規tyrphostin系制がん剤になる可能性を示唆する.