ABSTRACT 2467(P14)
子宮癌細胞の放射線感受性に及ぼすサイトカインの時間依存性組織特異的制御作用:田中哲二,梅咲直彦,荻田幸雄(大阪市大・産婦)
Time-dependent and tissue-specific regulation by cytokines on radiosensitivity of human uterine cancer cells: Tetsuji TANAKA, Naohiko UMESAKI, Sachi OGITA (Dept. of Ob/Gy, Osaka City Univ.)
[目的] 放射線感受性は癌組織型により大きく異なるが,その制御機構についてはいまだ明らかにされていない.組織特異的な放射線感受性制御機構を解析するために,一部の癌細胞にアポトーシスを誘発しうるサイトカインであるIL-1βおよびTGFβ1を用いて,癌細胞の放射線感受性に及ぼす効果を検討した. [方法] 放射線感受性子宮頚部扁平上皮癌細胞株CP-1,放射線低感受性子宮内膜腺癌細胞株HHUA,Tリンパ性白血病細胞株Jurkat,骨髄性白血病細胞株THP-1を用いて,IL-1βおよびTGFβ1の放射線感受性を細胞増殖への影響として測定した. [結果] 各サイトカイン単独では細胞増殖への顕著な効果は認めなかったが,放射線と同時併用すると放射線感受性が各細胞株により異なる制御を受けた.サイトカイン併用では,CP-1とJurkatの感受性が減弱されたが,HHUA株では逆に感受性が増強された.THP-1はIL-1β併用により顕著な感受性減弱効果が認められたが,TGFβ1併用では明らかな効果は認められなかった.しかし,サイトカイン刺激10時間後に放射線を照射するとサイトカイン併用による放射線感受性制御効果はほとんど検出されなかった. [結論] サイトカインによる放射線感受性制御作用は癌組織型により異なっており,その制御は時間依存性である.放射線増感療法としてのサイトカイン療法は,癌組織型に応じて時間を考慮した併用法の検討が必要である.