ABSTRACT 2468(P14)
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放射線障害脱毛モデル動物の作成:高畑京也,玉木孝彦岡山大・農・培養,岡山大・医・1外)

Irradiation-induced alopecia in a rat model : Kyoya TAKAHATA, Takahiko TAMAKI(Fac. of Agriculture, 1st. 2Dept. of Surg. Okayama Univ.)

[目的]癌治療において放射線照射は重要な戦略の一つであるが,化学療法剤の副作用と同様に脱毛誘発は避け難いのが現状である。我々は,化学療法剤副作用脱毛のモデルラットを用いて,魚油成分DHAやウーロン茶が抗アポトーシス作用に起因する抗脱毛作用を有する事を明らかにしてきた。一方,放射線誘発の脱毛については簡便で再現性のある良い動物モデル系がない事より,放射線誘発脱毛に対し予防作用を有する薬剤の開発は遅れているのが現状である。そこで,今回放射線照射により誘発される有用な脱毛モデルラットの作成を検討した。[方法]哺乳期8日齢のSD系雄性ラットに,セシウム-137ガンマ線を全身照射した。1群10匹とし,照射量は 0 Gy, 5Gy,10 Gy および 15 Gy の4群とした。経日的に脱毛を観察し,照射後6日目(14日齢)に脱毛度をスコア法(0:0-10 % の脱毛 , 1+:11-50 %の 脱毛, 2+:51-75 % の脱毛, 3+:76-100 %の 脱毛) により肉眼で判定した。また,背部皮膚の一部を切除しTUNEL染色により毛母細胞のアポトーシスを検出した。[結果]照射後3日目(11日齢)まで4群共順調に発毛したが,4日目(12日齢)より10 Gy 以上の照射群において急激な脱毛がみられた。照射後6日目の判定日には,0 Gy 群は全例スコア0,以下同様に5 Gy 群は全例スコア1+,10 Gy 群は全例スコア2+,15 Gy 群は全例スコア3+となり,照射量に依存して均一な脱毛が誘発された。また,毛母細胞でのアポトーシスが照射量に依存して発現していた。[結語]毛母細胞の細胞周期が同調していると考えられる哺乳期ラットへの放射線照射により,照射量に依存して均一な脱毛が誘発され,本動物モデルは放射線障害脱毛抑制剤の良いスクリーニング系と考えられる。