ABSTRACT 2469(P14)
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放射線照射後肉腫におけるp53遺伝子異常 -PCR-SSCP法を用いた解析-:中西啓文1、2、冨田裕彦1、吉川秀樹3、酒井邦夫4、加藤 洋5、越智隆弘2、青笹克之11阪大・医・病理病態、2整形、3大阪府立成人病セ・整形、4新潟大・医・放射線、5癌研・病理)

p53 mutation in post-radiation sarcoma: Hirofumi NAKANISHI1,2, Yasuhiko TOMITA1, Hideki YOSHIKAWA3, Kunio SAKAI4, You KATOU5, Takahiro OCHI2, Katsuyuki AOZASA1

【目的】放射線照射後肉腫(post-radiation sarcoma,以下PRS)について癌抑制 遺伝子p53の異常を解析した。
【対象および方法】24例のPRSを対象とした。PRS発症の潜伏期間および総放射線量の中央値は各々10年、60Gyであった。パラフィンブロックから抽出したDNAを材料にPCR-SSCP (polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphism) sequencing 法を行いp53の遺伝子異常をexon5から8にかけて解析した。また対照として20例の軟部肉腫についても同様の解析を行った。
【結果および考察】PRSでは24例中21例(88%)に遺伝子異常が認められ、対照の20例中4例(20%)に比し高頻度であった(p<0.001)。異常の認められた21例には57個の塩基置換および1個の塩基挿入が認められ、4例を除き全て2個以上の変異を有していた。変異の分布は散在性で従来報告されている変異のホットスポットに存在していたのは2例であった。以上よりp53遺伝子異常は放射線照射後肉腫の発症に深く関与していることが示唆された。