ABSTRACT 2470(P14)
放射線による染色体異常に対するメタロチオネインの防御的役割:渋谷 清1,鬼頭英明2,佐藤雅彦3,遠山千春3(1北里研病・薬剤,2岐阜薬大・衛生,3国立環境研・環境健康)
Protective role of metallothionein in clastogenicity due to X-ray irradiation : Kiyoshi SHIBUYA1,Hideaki KITO2,Masahiko SATOH3,Chiharu TOHYAMA3 (1Dept. Pharm., Kitasato Inst. Med. Center Hosp.,2Dept. Hygienics, Gifu Pharm. Univ.,3Environ. Health Sci. Div., National Inst. for Environ. Studies)
【目的】我々は、昨年の本学会において、メタロチオネイン (MT) 遺伝子欠損マウスでは、放射線の骨髄障害に対する感受性が増大することを報告した。今回は、放射線による染色体異常に及ぼすMTの影響をMT遺伝子欠損マウスを用いて検討した。
【方法】ジーンターゲッティング法によりMT-IおよびMT-IIの発現を抑えたMT遺伝子欠損マウスおよびその対照(野生型)マウスはA. Choo博士より供与を受けた。様々な照射量のX-ray (0.1〜1.0 Gy) をそれぞれ雄マウス (8週齢) に1回全身照射した。その24時間後にエーテル麻酔下で、尾静脈より末梢血および大腿骨より骨髄を採取し、アクリジンオレンジを塗布したスライドガラス上に引き延ばし、RET, MNRET, PCE および MNPCE を蛍光顕微鏡にて計数した。
【結果】MT遺伝子欠損マウスおよび野生型マウス共に、X-ray照射により骨髄および末梢血における小核誘発が無処置群に比べて照射量依存的に増加した。X-ray照射による小核誘発は、MT遺伝子欠損マウスの方が野生型マウスに比べて有意に増強した。
【結論】骨髄中に存在する内因性MTまたは誘導合成されるMTが放射線による染色体異常の防護に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。