ABSTRACT 2474(P14)
光線力学的治療におけるクロリン系光感受性物質の血清アルブミンとの特異的結合に関する検討:土田敬明1,加藤治文1,奥仲哲弥1,古川欣也1,日吉利光1,小中千守1,會沢勝夫2(1東京医大・外、2東京医大・生理)
Site specific interaction between human serum albumin and chlorin type photosensitizer for photodynamic therapy: Takaaki TSUCHIDA1, Harubumi KATO1, Tetsuya OKUNAKA1, Kinya FURUKAWA1, Toshimitsu HIYOSHI1, Chimori KONAKA1, Katsuo AIZAWA2 (1Dept. of Surg., Tokyo Med. Col., 2Dept. of Physiol., Tokyo Med. Col.)
〔目的〕光線力学的治療は、早期癌に対する非侵襲的根治療法として注目されている。この治療法の特徴は、使用される光感受性物質の腫瘍親和性にある。血清タンパク質、特にアルブミンは、薬物と結合することによってその薬物の体内動態に大きく関わっている。光線力学的治療における光感受性物質では、血清タンパク質と結合することにより組織への分配遅延が起こり、正常組織と癌組織の薬物濃度差が大きくなるものと考えられている。本研究では、第二世代の光感受性物質であるクロリン系光感受性物質とヒト血清アルブミンの相互作用について検討を行った。
〔方法〕クロリン系光感受性物質として mono-L-aspartyl chlorin e6 を用いた。ヒト血清アルブミンとの相互作用は、表面プラズモン共鳴法により測定された。また、特異的結合標識を用いて標識置換法により特異的結合部位の同定を行った。ダンシルアミドおよびダンシル-L-プロリンをそれぞれサイトI およびサイトII に対する特異的結合標識として用いた。
〔結果〕mono-L-aspartyl chlorin e6は、ヒト血清アルブミンのサイトII と特異的に結合することが明らかとなった。これは、以前、ポルフィリン系の光感受性物質に対して示されたサイトII 結合性と光線力学的治療の効果の相関を支持する結果となった。