ABSTRACT 2492(P15-2)
P1-DNAプローブを用いた肺癌における癌関連遺伝子発現の検討:平栗俊介、萩原優、中村治彦*、斎藤誠*、河手典彦*、小中千守*、加藤治文*(東京医大 八王子医セ胸外、東京医大 外1*)
FISH analysis of Cancer-related Genes in Lung Cancer: Shunsuke HIRAGURI, Masaru HAGIWARA, Haruhiko NAKAMURA, Makoto SAITO, Norihiko KAWATE, Chimori KONAKA, Harubumi KATO (Dept. of Thoracic Surg., Tokyo Medical College Hachioji Medical Center, *Dept. of Surg.1., Tokyo Medical College)
我々はこれまで肺腺癌においてSRC tyrosine kinase familyに属するFGR遺伝子や、Mut-S mismatch repair proteinのMSH2遺伝子コピー数に変異が認められることを報告してきた。今回、肺癌、特に肺腺癌での遺伝子コピー数の変異をスクリーニングする目的で、その他数種類の遺伝子のP1ファージDNAを新たに調製し、Fluorescent in-situ Hybridization(FISH)を用いて肺癌切除標本での癌遺伝子の発現を検討した。調製したP1ファージDNAは、肺癌で異常が報告されている癌遺伝子Retinoic acid receptor beta: RARB(3p22-p24), およびAcetyl-Coenzyme A acryltransferase: ACAA, また癌抑制遺伝子では、大腸癌関連のAPC/MCC(5q4-q23), p16 cyclin dependent kinase inhibitor: CDKI4/MTS1(9p21-p23), 乳癌で突然変異のみられるBRCA2(13q12-q13), その他SRC(20q12), TopoisomeraseI(20q12),髄膜腫や一部の乳癌と関連するNF2(22q12)などで、それぞれBioNick labeling systemを用いてビオチン化しFISHに用いた。対象は東京医科大学で平成9年2月から9月までに切除した原発性肺癌例で、組織型は腺癌6例、大細胞癌2例、腺様嚢胞癌1例であった。それぞれ凍結標本よりスタンプ標本を作成、カルノア固定後ハイブリダイゼイションし、各細胞毎にシグナル数をカウント、遺伝子コピー数の変化を検討し、肺腺癌に特徴的な遺伝子変異を同定することを試みた。