ABSTRACT 2494(P15-2)
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細胞診検体を用いたFISH法による肺癌遺伝子異常の検出: 中村治彦,辻 興,平栗俊介,斉藤誠,河手典彦,小中千守,加藤治文(東京医科大学第一外科)

Detection of the genetic aberrations of lung cancer on the cytological specimens using FISH: Haruhiko NAKAMURA, Koh TSUJI, Shunsuke HIRAGURI, Makoto SAITO, Norihiko KAWATE, Chimori KONAKA, Harubumi KATO (Dept. of Surgery 1, Tokyo Medical College Hospital)

[目的]少数の細胞検体を用いて、個々の細胞の遺伝子コピー数の変化を簡便に知るにはFISH(fluorescence in situ hybridization)法が適している。本法を用いて、肺癌細胞におけるp53遺伝子の欠失とerb B2遺伝子の増幅を検討した。
[方法]切除肺癌の割面をスライドグラスに捺印していわゆるスタンプ標本を作成して検体とした。各々の座位に特異的なFISH用DNAプローブを検体と反応させた後、免疫組織化学により、プローブの局在を蛍光色素で検出し、蛍光顕微鏡で細胞内のコピー数を観察した。[結果]肺癌10例の検討結果では、p53遺伝子の欠失は3例に、erb B2遺伝子の増幅は4例に観察された。いずれもheterogeneityが存在し、腫瘍内の細胞の有する遺伝子変異は均一でないことが確認された。
[結論]腫瘍内の特定の細胞集団が、より悪性度の高い形質を獲得することで、癌の増殖、転移が促進される可能性があり、個々の細胞レベルの遺伝子異常の検索手段としてFISH法は有用である。