ABSTRACT 2496(P15-2)
切除乳癌におけるchromosomal instabilityの検討:高見 聡1、木下盛敏1、野口眞三郎2 (1大塚製薬・アッセイ研、2阪大・医・腫瘍外科)
Analysis of chromosomal instability in breast cancer cells:Satoshi TAKAMI1, Moritoshi KINOSHITA1, Shinzaburo NOGUCHI2 (1Otsuka Assay Labs., Otsuka Pharma. Co.,Ltd. 2Dept. of Surg. Oncol., Osaka Univ.)
【目的】乳癌における染色体の数的異常は多くの報告があり、診断への応用や予後因子としての可能性が示唆されている。一方、染色体の不安定性(chromosomal instability :CIN)についての報告は少なく、その意義は明らかでない。今回我々は、FISH法を用いCINの臨床的意義について検討したので報告する。
【方法】切除乳癌32例及び良性腫瘍4症例についてFISH法にてCINを検討した。プローブとしてはセントロメアDNAを用い、1、2、6、7、10、11、17及び18番染色体について解析した。CINの判定はVogelsteinらの方法に従い、染色体ごとに観察されるmodal chromosome number以外の細胞核比率を%で示してCIN値とした。
【結果・考察】CIN値は8.1〜59.3%に広く分布して観察され、癌症例では良性腫瘍に比べ有意に高いCIN値を示し(p<0.01)、stageの進行と共に高くなる傾向が認められた。また、リンパ節転移陽性群及びER陰性群は高いCIN値を示した(p<0.05)。以上よりCINは乳癌の悪性度の評価に有用なものであると考えられた。