ABSTRACT 2500(P15-2)
FISH法を用いた悪性黒色腫に見いだされた高倍数性の検討:佐藤誠紀1、玉置知子2、喜多野征夫1、古山順一2(1兵庫医大・皮、2兵庫医大・遺伝)
Hyperploidy detected in malignant melanoma cells by using FISH : Seiki SATOH1 , Tomoko TAMAOKI2 , Yukio KITANO1 ,Jun-ichi FURUYAMA2 ( 1 Dept. Dermat., Hyogo Coll Med., 2 Dept. Genet., Hyogo Coll Med. )
〔目的〕腫瘍細胞のDNA量の異常とその腫瘍の生物学的態度は比較的良く相関する事が指摘されている。悪性黒色腫に関しては、フローサイトメトリーによる高倍数体が諸家によって報告されている。今回、FISH法を用いて間期核に於ける染色体の動原体を染色し倍数性を検討した。
〔方法〕株化悪性黒色腫に対してX、Y、18、17番染色体αサテライトプローブ、p53領域を認識するプローブを用いたFISH解析とフローサイトメトリー解析を行い比較した。同様に原発性、転移性悪性黒色腫、母斑細胞性母斑に対してFISH解析を行った。
〔結果〕株化悪性黒色腫におけるFISH解析では4から6倍体を示しフローサイトメトリー解析の結果と一致した。原発性、転移性悪性黒色腫では4倍体、母斑細胞性母斑では2倍体を示した。又、転移性悪性黒色腫に於いてはp53癌抑制遺伝子の一方のアレルでの欠失を認めた。
〔結論〕悪性黒色腫の初期病変は非常に小さいことが多く、母斑細胞母斑などの疾患との鑑別が難しい場合がある。FISH法は、少量の検体からでも高倍数体の検出が行えるため臨床検体に対する鑑別診断として有用な方法と考えられる。