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MET proto-oncogene EXON19にmissense mutationを認めた両側性乳頭状腎癌の一例：高木康行¹、鎌田雅行¹、奥田平和¹、執印太郎¹、矢尾正祐²、吉田実²
（¹高知医大・医・泌、²横浜市大・医・泌）

Missense mutation in EXON 19 of MET proto-oncogene in patient with bilateral papillary renal carcinomas：Yasuyuki TAKAKI¹、Masayuki KAMATA¹、Heiwa OKUDA¹、Ｔaro SHUIN¹ 、Masahiro YAO²、Minoru YOSHIDA²（¹Kochi Medical School.Dept. of Uro、²Yokohama City University of Medicine Dept. of Uro.）

腎癌において乳頭状の増殖パターンを呈する症例は全腎癌の7.5〜14％に認められ比較的稀とされている.両側性乳頭状腎癌は欧米ではしばしば報告されているが、本邦においては我々が調べ得た限りでは 報告例を認めず、本症例が第1例目である.今回我々は両側性乳頭状腎癌の一例を経験したので報告する.症例は70歳男性.発熱の精査中腹部超音波検査にて偶然両側腎腫瘍を指摘され当科紹介となる.家族歴に特記事項なし.CT、MRIにて右腎上極に径10cm左腎上極に径2cm大の腫瘍を認め、血管造影では両側でhypovascularであった.遠隔転移の所見は得られていない.両側腎腫瘍の診断のもと右腎全摘術、左腎部分切除術を施行.病理組織学的に左右ともpapillary typeの腎癌であった.Zbar.B.らは家族性乳頭状腎癌でMET proto-oncogene EXON19にmissense mutation を報告しているが本症例においても腎癌組織において同様の結果が得られ、EXON 19 の3997番目塩基のTがCへmissense mutationを起こしていた.家族性が示唆されたが、今後さらなる追跡調査が必要と思われた.