ABSTRACT 2513(P15-4)
 ポスターセッション一覧 トップ 


複数の前立腺癌転移巣におけるPTEN/MMAC1およびp53遺伝子変化の不均一性:鈴木啓悦1,伊藤晴夫1,David Sidransky2,William B. Isaacs21千葉大・医・泌,2ジョンズ・ホプキンス大学・医)

Interfocal heterogeneity of PTEN/MMAC1 and p53 gene alterations in multiple metastatic prostate cancers: Hiroyoshi SUZUKI1, Haruo ITO1, David SIDRANSKY2, William B. ISAACS2 (1Dept. of Urol., Sch. of Med., Chiba Univ., 2Johns Hopkins Oncol.Ctr.)

【目的】前立腺癌原発巣は細胞病理学的および分子生物学的にheterogeneousであるが,各転移巣間におけるheterogeneityについてはほとんど報告がない.我々は前立腺癌死した患者より複数の転移巣を採取してPTEN/MMAC1およびp53について解析し,同一患者での転移巣間のheterogeneityについて検討した.【方法】19例の前立腺癌死した患者より複数の転移巣を採取してDNAを抽出した.PTENおよびp53遺伝子の各エクソンごとにPCR-SSCPで変異の有無をスクリーニングし,SSCPで異常をみた場合には塩基配列を決定した.またPTEN(10q23)およびp53遺伝子(17p13)の周辺の染色体欠失についてmicrosatellite markerを用いたPCR-LOHにて検索した.【結果】LOHは10q23で55%に,17p13で83%に見たが,1例を除き同一患者より採取した複数の転移巣では同じalleleの欠失を示した.PTENおよびp53遺伝子の変異はそれぞれ21%,26%に見たが,PTEN変異が1例を除いて複数の転移巣のうちの1転移巣のみに見られたのに対して,p53変異は同一患者より採取した全ての転移巣で同一であった.【結語】前立腺癌では各転移巣間にもheterogeneityが存在し,PTEN遺伝子変異はp53変異よりも後で起きるものと推測された.またp53変異が転移形成の前に起きるのに対して,PTEN/MMAC1変異は転移巣が形成された後に起きると考えられた.