ABSTRACT 2515(P15-4)
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臨床検体を用いた膵腫瘍における遺伝子欠失の解析:松原央1,執行雅紀2,谷口高広2,深山紀子2,菅野康吉2,小菅智男3,関谷剛男4,垣添忠生51国立がんセ・中央病・小,2国立がんセ・中央病・臨床検査,3国立がんセ・中央病・外,4国立がんセ・研・腫瘍遺伝子,5国立がんセ・中央病)

Analysis of LOH in pancreas tumor from clinical specimen:Hiroshi MATSUBARA1, Masanori SHIGYO2, Takahiro TANIGUCHI2, Noriko FUKAYAMA2, Kokichi SUGANO2, Tomoo KOSUGE3, Takao SEKIYA4, Tadao KAKIZOE5 (1Dept. of Ped., Natl. Cancer Ctr. Hosp., 2Clinical Laboratory Div., Natl. Cancer Ctr. Hosp., 3Dept. of Surg., Natl. Cancer Ctr. Hosp., 4Oncogene Div., Natl.Cancer Ctr. Res. Inst., 5Natl. Cancer Ctr. Hosp)

【目的】膵腫瘍は正常間質が豊富なために,臨床検体から遺伝子欠失を直接証明することは,従来法では困難であった.Blunt-End SSCP法は,多型部位をPCR増幅後,PCR産物を平滑末端とし,蛍光シークエンサーを用いてSSCP解析を行う方法であり,腫瘍細胞の含まれる割合が10%前後の検体からもLOHの解析が可能である.【方法】膵腫瘍切除標本(膵管癌11例,IPN4例)を対象として9p,9q,17p,18qについてLOHを解析した.【結果】各染色体座位におけるLOHの頻度は膵管癌では9p:60%(6/10),9q:57%(4/7),17p:70%(7/10),18q:80%(8/10),また9p,17p,18qのすべてにLOHを認めたものは56%(5/9)であった.IPNでは腺腫の3例ではいずれのlocusにもLOHを認めなかったのに対し,間質への浸潤を示した腺癌の1例では9p,17p,18qのすべてのlocusでLOHを認めた.【考察】Blunt-End SSCP法により膵腫瘍切除標本から直接遺伝子欠失を解析することが可能である.膵管癌では9p,17p,18qで高率にLOHを認めたのに対して,IPNでは腺癌の1例以外はいずれも欠失を認めず,膵腫瘍の悪性度診断への応用の可能性が示唆された.