ABSTRACT 2523(P15-5)
癌の遺伝子治療をめざした組み換えアデノウイルスベクターの作製ならびに留意点:定田明子、吉田陽子、村松由起子、大橋誠、篠浦伸禎、濱田洋文(癌研・癌化療セ・分子生物治療)
Generation of recombinant adenoviral vectors for cancer gene therapy:Akiko SADATA, Yoko YOSHIDA, Yukiko MURAMATSU, Makoto OHASHI, Nobusada SHINOURA, Hirofumi HAMADA (Dept. Mol. Biother. Res.,Cancer Chemother. Ctr., Cancer Inst.)
当報告では私たちの作製した各種の組み換えアデノウイルスベクターについて紹介するとともに、私たちの経験した注意点についてまとめ、ディスカッションしたい。 各種サイトカイン(IL1〜IL18, etc.)、免疫制御タンパク(CD80, CD86, CTLA4Ig)、アポトーシス関連遺伝子(Fas Ligand, FAS, etc.)、癌抑制遺伝子(p53, p73,Smad4,)、細胞周期関連遺伝子CDKI (p16, p19, p21, p27)、各種プロドラック用酵素 (HSK-tK, E.coli CD, UPRT)、などがある。これらに対しさらに、E1に変異を有する制限増殖型(AxE1AdB)、宿主域を改変したキャプシドタンパク変異型(F/K20)、組織特異的プロモーター(AFP, CEA, PSA)で目的遺伝子とドライブするもの、などを組み合わせて作製し、生物学的効果を検討した。得られた100種以上の組み換え体のほとんどはトラブルなく高いタイターが得られたが、中にはp53のように発現を失う変異が容易にはいるものもあった。また、アポトーシス関連遺伝子(Fas Ligand)のように特殊な293細胞(293/crmA)を使って初めて作製可能なものもあった。しかもタイターは従来法では見かけ上1000倍以上低く出ることもわかった。ここで得られた材料と情報を癌の遺伝子治療法開発のための基盤として広く役立ててゆきたい。