ABSTRACT 2526(P15-5)
ヒト骨軟部腫瘍培養細胞株におけるアデノウイルスベクターp53遺伝子導入:遠藤宏治1,建部茂1,五藤 章1,安達博信1,井藤久雄1,吉田春彦2(1鳥取大・医・一病理,2鳥取大・医短)
Adenovirus vector-mediated wild-type p53 gene transfer in human bone and soft tissue tumor cell lines: Koji ENDO1, Shigeru TATEBE1, Akira GOTO1, Hironobu ADACHI1, Hisao ITO1, Haruhiko YOSHIDA2 (1First Dept. of Pathol.,Facul.of Med.,Tottori Univ. 2College of Medical Care Technology,Tottori Univ.)
【目的】野生型p53 遺伝子をアデノウイルスベクターを用いて骨軟部腫瘍細胞に導入し,種々の検討を加えた.
【方法】骨肉腫4株;Saos-2(p53欠失), HuO-3N1(変異), NY(変異), MG-63(変異),線維肉腫1株;HT-1080(野生),我々が樹立した悪性線維性組織球腫1株(MFH-To)を用いた.野生型p53 遺伝子発現アデノウイルス(AxCA-p53)ベクターを用いてp53 遺伝子を導入した.ヘキスト染色により細胞の形態観察を行い,apoptotic index(AI)(%)を算出した.p53 遺伝子導入後の細胞動態はflow cytometerで観察した.また,Western blot法にてP53蛋白,p53 遺伝子関連蛋白およびbcl-2 family蛋白の検出を行った.
【結果】アデノウイルス-LacZ (AxCA-LacZ)を用いたX-Gal染色により,すべての培養細胞への遺伝子導入が確認された.AxCA-P53 のmultiplicity of infection(MOI)数に依存してP53蛋白発現量が増加した.Saos-2,NYではp53 導入後,controlと比較して時間依存性に生細胞率が減少し,p53 導入後24時間以降にAIが増加した.Western blot法では,Baxの発現が24時間後より増加していた.一方,HuO-3N1ではcell arrestが生じ,HT-1080ではnon-effectiveであった.
【まとめ】アデノウイルスベクターによりp53 遺伝子が導入され,MOI依存性に発現が亢進し,アポトーシスもしくはcell arrestが誘発された.