ABSTRACT 2528(P15-5)
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ヒト胃癌培養細胞株におけるアデノウイルスベクターを用いたp53遺伝子導入:坂谷貴司1,建部 茂1,松浦隆彦1,遠藤宏治1,佐藤建三2,井藤久雄1 (1鳥取大・医・一病理,2鳥取大・生命・分生)

Adenovirus vector-mediated wild-type p53 gene transfer in human gastric carcinoma cell lines.:Takashi SAKATANI1, Shigeru TATEBE1, Takahiko MATSUURA1, Koji ENDO1, Kenzo SATO2 and Hisao ITO11First Dept. Pathol. Facul.of Med.,Tottori Univ., 2Dept. Mol. Biol.School of Life Science, Tottori Univ.)

【目的】胃癌におけるp53遺伝子治療をin vitroの系を用いて検討した.【材料と方法】細胞株はヒト胃癌培養細胞株であるMKN-1 (変異型p53),MKN-45 (野生型p53),MKN-74 (野生型p53),TMK-1 (変異型p53),KATO-III (完全欠失p53),OCUM-2Mの6株を用いた.野生型p53遺伝子発現アデノウイルスベクター (AxCAp53)を用い,p53遺伝子を導入した.アポトーシスの判定は形態学的観察とアガロースゲル電気泳動にて行った.Western blot法にてp53蛋白ならびにその他のp53遺伝子関連蛋白の検出を行った.またflow cytometerでp53遺伝子導入後の細胞動態を観察した.【結果】Western blot法ではAd-p53のMOI数に依存してp53蛋白の発現量が増加した.p53遺伝子導入によりMKN-1でAxCAp53感染48時間以降にアポトーシスが誘導された.MKN-45,MKN-74,KATO-IIIではflow cytometerでS期が減少しcell arrestの状態となったがアポトーシスは誘導されなかった.全細胞株でp53導入後p21蛋白の発現量が増加した.アポトーシスが誘導されたMKN-1でのみBaxの発現量が増加しBcl-XLの発現量が低下した.【まとめ】AxCAp53はヒト胃癌細胞株にアポトーシスあるいはcell arrestを誘導した.アポトーシス誘発にはBcl-2familyの発現が関与している可能性がある.